モンサントの除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートの登録期限を6月末に控えたEU委員会は6月6日、新たに12ヶ月から18ヶ月の暫定的更新を常設委員会に提案したが、またしても特定多数を得らなかった。これによりEU委員会は、ハイレベルのメンバーによる上訴委員会に暫定更新の承認を託した形となった。しかし、ドイツ、フランスなどの登録更新反対の姿勢は変わっていない模様で、ますますグリホサートの登録失効の可能性が強くなってきた。
EU委員会は5月19日、常設委員会において9年の登録更新を採決したが、ドイツ、フランス、イタリア3か国の反対があり定多数を得られなかった。これを受けてEU委員会は、欧州化学機関(ECHA)によるグリホサートの調査が終わるまでの間、暫定的に登録を更新するように提案していた。
6月6日の常設委員会では、暫定更新に対して明確な反対はマルタだけであったが、7カ国(フランス、イタリア、オーストリア、ギリシャ、ルクセンブルク、ドイツとポルトガル)が棄権した結果、賛成は217票と特定過半数の255票に達しなかった。フランスやドイツなどの棄権や反対した国の姿勢が変わらないようで、6月24日に予定されている上訴委員会でも暫定更新は可決できない模様。
欧州議会内会派の欧州緑グループ・欧州自由連盟(Greens/EFA)は6月6日、常設委員会での投票結果を歓迎する声明を出した。声明は、健康影響や生物多様性への影響もは明らかであるグリホサートは禁止されるべきであるとした。また、3回にわたって登録更新ができなかったことについて、EU委員会は登録を失効させるべきであり、これ以上の登録更新への動きは、EUの意思決定プロセスにおける民主主義に対する懸念を引き起こすと警告した。
上訴委員会を間近にした20日、フランス環境相が「反対」を表明したとロイターが報じている。
・Reuters, 2016-6-6 ・Greens/EFA, 2016-6-6 ・Greenpeace, 2016-6-6 ・Reuters, 2016-6-20EUの特定多数決は、人口比に応じた加盟国ごとの持ち票で投票し、加盟国の過半数の国の賛成と賛成票が255票以上を得ることと、人口で62%以上となることが条件となっている。
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