食品安全委員会は7月12日、現在実施中の48ヶ月齢を超える牛のBSE検査は不要とする評価をまとめ、13日よりの意見公募を決めた。2001年10月に全頭検査を始めたが、05年8月に21ヶ月齢以上に、13年7月より48か月例超に緩和していた。
評価書では、飼料規制などのBSE対策を続ける限り、日本で定型BSEが発生する可能性はほとんどないとする13年5月の評価は妥当であり、非定型BSEの発生頻度もきわめて低く、疫学的に非定型BSEと人のプリオン病の関連を示唆する報告はないとしている。その上で、現在実施されている、48か月齢を超える牛のBSE検査を廃止しても、継続した場合とのリスクの差は非常に小さく、人への健康影響は無視できるとした。
また、と畜前の生体検査は適切に行われなくてはならないとし、24か月齢以上の牛で異常が疑われたものと全身症状の牛BSE検査は継続する必要があるとした。
時事通信によれば、食品安全委員会は意見公募後、8月をめどに厚労省へ通知する。厚労省は、通知を受けて関係省令などを改正し、来年からBSE検査を廃止する予定だという。
・食品安全委員会, 2016-7 ・時事, 2016-7-12● 完全には収束していないBSE
日本におけるBSE牛は2001年に初めて確認されて以降、これまでに36頭が確認されている。2009年以降の発生は確認されていない。
しかし、世界的にはBSEは完全に収束したわけではなく、ここ数年、毎年10頭前後の発生が確認されている。OIE(国際獣疫事務局)によれば、昨年は7頭が発生し、今年に入ってもフランスで1頭の発生が確認されている。
・World Organization for Animal Health ・農水省, 2016-3-28食品安全委員会は、BSEのリスクがゼロになったとはしていない。人の健康影響が「無視できる」としているだけだ。今年3月にBSEの発生が確認されたフランスからの輸入も継続されたままである。これまでにBSEの発生が確認された国からの牛肉輸入が認められているのは、フランスも含め、米国、カナダ、オランダなど13カ国に上っている。
【関連記事】- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増