
食品安全委員会は7月12日、ネオニコ系農薬の一つであるイミダクロプリドや、ラウンドアップの主成分であるグリホサートに関する評価書を取りまとめ、リスク管理機関である厚労省、農水省への通知を決めた。
15年2月、食用ゆり、ごまなどへの適用拡大申請がなされたイミダクロプリドについて、一日摂取許容量(ADI)を0.057mg/kg体重/日に、急性参照用量(ARfD)を0.1mg/kg体重に設定するとした。この評価を受けて、近く、厚労省の審議会での審議が始まる模様。これまで、多くの場合で残留基準値が緩和されてきており、今回も緩和される可能性がある。
・食品安全委員会, 2016-7グリホサートついては、一日摂取許容量(ADI)を1mg/kg体重/日とし、急性参照用量(ARfD)は不用とした。評価書では、グリホサートの5つのタイプについて、いずれも「発がん性」はないとしている。食品安全委員会は、評価書冒頭で、非公表データも使って評価するという「国際的な」やり方を採っていると明記した。
食品安全委員会が不用とした急性参照用量(ARfD)は、欧州食品安全機関(EFSA)は0.5mg/kg体重に設定している。このARfD不用については、寄せられた意見の中にも不用の問題点を指摘する意見があったが、試験データの結果を「総合的に判断」したとしているでけだ。
・食品安全委員会, 2016-7毎日一生涯にわたって摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量
24時間又はそれより短い時間経口摂取した場合に健康に悪影響を示さないと推定される一日当たりの摂取量。
IARC(国際がん研究機関)は15年3月、グリホサートを「おそらく発がん性がある」と分類する評価結果を公表していた。公表された研究結果だけで評価していたIARCの評価は、産業界などから非難された。日本の食品安全委員会も含め、欧州安全機関(EFSA)などの各国の規制機関は、企業から提出された非公開のデータも使い、農薬の評価を行っている。欧州の消費者などはこの点を問題にしていて、再検証が不可能な非公開データに依存する評価をやめるように要求している。この要求は当然であるし、日本の農薬行政についても言える。先ずは、すべてのデータを公開することが必要だ。
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