

厚労省はこのほど、米国ワシントン州でモンサントの未承認の遺伝子組み換え小麦の自生が見つかったことに関し、検査が実施可能となるまで、ワシントン州などで生産される食用小麦のウェスタン・ホワイトと、米国西海岸から輸出される飼料用小麦について買付と売渡を暫定的に停止したとQ&Aの形で公表した。
ロイターによれば、この一時的な一部の米国産小麦の買付と売渡の一時的な停止措置を米国農務省も確認したとしている。
米国農務省は、ワシントン州で輸出小麦の試験が実施されるようになれば、日本は一時的な停止措置を解除するだろうと語ったという。また、問題のGM小麦の試験用サンプルと資材が、モンサントから日本と韓国に送られ、到着次第速やかに措置が解除される見込みだとしている。
厚労省のQ&Aによれば、初めて未承認遺伝子小麦の自生が見つかり、検査体制の整った2013年7月以降これまで、輸入時のモニタリング検査で遺伝子組み換え小麦は検出されなかったとしている。 米国小麦生産者協会(NAWG:National Association of Wheat Growers)など関係3団体の7月29日付の声明では、これまでに、日本向けに輸出された小麦3億5千万ブッシェル(約950万トン)余りから遺伝子組換え品種は確認されなかったとしている。
・厚労省 ・Reuter, 2016-8-1 ・National Association of Wheat Growers, 2016-7-29米国での遺伝子組み換え小麦の自生確認とそれに伴う一時的な買付と売渡の停止措置について、日本政府は余り大きなことにしたくないようだ。農水省のHPでは、こうした買付と売渡の停止措置などについて掲載されていないようだ。厚労省のQ&Aも新着情報一覧には掲載されていない。厚労省関係の新着情報配信サービスでも全く触れていない。また、大手紙を含めて、ほとんど報じられていない。この「報道管制」は、2013年のときと比べても異様に映る。韓国政府は、輸入手続きの停止措置と流通在庫を含めた検査について明らかにし、韓国のマスメディアも報じているのと対照的だ。
財務省の貿易統計によれば、日本は2015年、522万トンの小麦を輸入しているが、その52%に当る273万トンが米国産である。
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