最終更新日:2016年08月12日
2016年
 07年 08年 09年 10年 11年
 12年 13年 14年 15年 16年
 17年 18年 19年

2016年8月
123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031
最近の記事
2022.12.29 No.1152
2022.12.25 No.1151
2022.11.30 No.1150
2016年8月の記事
2016.08.31 No.737
2016.08.30 No.736
2016.08.29 No.735
2016.08.28 No.734
2016.08.26 No.733
2016.08.22 No.732
2016.08.20 No.731
2016.08.19 No.730
2016.08.17 No.729
2016.08.16 No.728
2016.08.15 No.727
2016.08.14 No.726
2016.08.13 No.725
2016.08.12 No.724
2016.08.11 No.723
2016.08.09 No.722
2016.08.06 No.721
2016.08.05 No.720
2016.08.03 No.719
2016年7月の記事
2016.07.31 No.718
2016.07.30 No.717
2016.07.27 No.716
2016.07.17 No.715
2016.07.13 No.714
2016.07.09 No.713
2016.07.08 No.712
2016.07.07 No.711
2016年6月の記事
2016.06.30 No.710
2016.06.23 No.709
2016.06.21 No.708
2016.06.18 No.707
2016.06.17 No.706
2016.06.07 No.705
2016.06.01 No.704
2016年8月

2016.08.12 No.724
■インド:GM綿の作付が減少 非GM品種や転作へ
cotton_india.jpg on Flickr
綿畑 / Santanu Vasant on Flickr

 95%が害虫抵抗性(Bt)遺伝子組み換え品種だといわれるインドの綿作は昨シーズン、干ばつと害虫で大きな被害を受けた。その反動が豆類への転作と、非GM品種の作付増加となって現れている。綿種子のシェア90%のモンサントは販売の減少で赤字転落の見込みだという。

 インド農業省によると、15年から16年にかけてのシーズンに897万ヘクタールで栽培された豆類は今年、1210万ヘクタールと35%増加し、豆類の栽培面積は、この5年の平均より11%以上多いという。トウモロコシや油糧種子の作付けも増えているという。

india_cotton_area_15-16.jpg
インドにおける綿作面積推移

 豆などの栽培が増える一方で綿の作付面積は大きく減少している。昨年の1057万ヘクタールから、今年は965万ヘクタールまで減少。Bt品種の作付面積は、昨年の970万ヘクタールから800万ヘクタールへと大きく減少した。一方、遺伝子組み換えでない従来品種は、昨年の88万ヘクタールから166万ヘクタールに倍増だという。

 ・Mint, 2016-8-6

 害虫抵抗性(Bt)遺伝子組み換え綿は、全草に殺虫性の成分を含み、綿の害虫ワタキバガの幼虫を殺す。米国では生物農薬扱いで登録されている。しかし、ターゲットとするワタキバガの幼虫が抵抗性を獲得したことで、その「効果」がなくなり、大きな被害が出ているという。

 インド南部のカルタナカ州の綿作は、95%がBt品種だという。このBt綿に抵抗性を持ったワタキバガの幼虫と、天候不順で大発生したコナジラミにより大きな被害を受けた。この状況にカルタナカ州の農民運動組織KRRSは5月、農民に対して、来シーズンのBt綿の作付けをやめ、穀類と豆類に転換するように勧告した。カルタナカ州に隣接するアーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナ州の政府も農民に対して、来シーズンは綿を栽培しないように勧告したという。

 ・The Hindu, 2016-5-13

 農薬や化学肥料の使用量も増えている。2006年にヘクタール当り0.5Kgだった農薬使用量は、2015年は1.2Kgと2倍以上に増加。化学肥料の使用量も2倍に増加しているという。「効果」が失せたBt綿の種子は、ロイヤリティが加算され高価格な上、毎年購入しなくてはならない。農民にとっては踏んだり蹴ったりの状況にある。その点からも、自家採種した種子を翌年も使える従来品種への切り替えが起きているのだろう。

 ロイターによれば、昨年4100万箱のBt綿の種子を販売し、シェア90%といわれたモンサントの売上げは低下し、政府によるロイヤリティの制限により7500万ドルの損失が見込まれているという。

 ・Reuters, 2016-8-2

 除草剤に抵抗性を持ったスーパー雑草でと同じように、害虫も抵抗性を獲得し、必然的に農薬の使用量は増加する。種子企業は「次世代」品種を登場させ、麻薬のように、毎年買わざるを得ない状況を作り出してきた。インドの豆類への転換の増加や、非GM品種の栽培の増加は、種子企業による「支配」にほころびが出てきたということだ。

【関連記事】
カテゴリー
よく読まれている記事