最終更新日:2016年08月20日
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2016.08.20 No.731
■ソウル市の「GMOゼロ売場」事業が廃止の可能性
 韓国の食品衛生法改悪 野党議員が対抗提案

 韓国のソウル市が昨年9月より実施してきた「GMOゼロ売場」の看板が、食品衛生法の改正で表示違反となる見通しになり、ソウル市当局も中止せざるを得ないと判断していると、8月19日付のハンギョレ(日本語版)が伝えている。韓国政府の食品表示を所管する食品医薬品安全処が4月に公表した改正案で、韓国産農産物に「非GMO」表示ができなくなるためだという。

 食品医薬品安全処は改正案を公表後、7月20日まで意見公募を行っていた。しかし、改正案のスケジュールなどは何も決まっていないという。

 ソウル市は昨年9月、全国に先駆けて農協や生協など市内193か所の国産の非GMO農産物と加工食品の売り場に「GMOゼロ実践売場」の看板を掲げる事業を始めた。しかし食品衛生法改正案では、国産の農産物や加工食品がGMO表示の対象外とされ、「非GMO」などの表示ができなくなるとしている。違反には、5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金刑が設けられ、市の「GMOゼロ実践売場」の看板が違反となる可能性が出てきたため、改正案が成立した場合、市は事業を取りやめる方針だという。

 こうした食品医薬品安全処の動きに対して、生協や市民団体は「消費者の知る権利」を主張し、改正案に強く反対。野党の共に民主党の議員30人は今年6月、GMOの完全表示を強化する食品衛生法改正案を提案したという(詳細不明)。

 ・ハンギョレ, 2016-8-19

 ハンギョレによれば、遺伝子組み換え食品表示をめぐって議論が大きく3つに割れているという。一つは施行時期の問題で、食用油のように組み換えDNAが完全に残らない食品まで即時表示対象とするか、それとも段階的に対象としていくかという問題。二つ目は、ソウル市の「GMOゼロ実践売場」の看板が違反とされることに象徴的な、国産農産物を対象とするか対象外とするのかという問題。三つ目が許容混入率の上限で、EU並みの0.9%にするか、それともゼロとするかという問題だという。

 韓国では2013年、食品表示の所管が農林畜産食品部(日本の農水省に相当)から食品医薬品安全処に移管された。食品医薬品安全処は昨年1月、遺伝子組み換え表示に関して、上位5位までとなっている規定を改めて、全成分表示に改正する方針を示していた。

 ・ハンギョレ, 2015-1-26

 ソウル市長パク・ウォンスン氏は、2011年の市長選で野党統一候補として立候補し初当選した。市の非正規職員の正規職員化など、大規模開発などではなく「人間中心の市政」で支持を集め、2014年に再選されている。「GMOゼロ実践売場」も、こうした政策に一つと思われる。このような政策を実行に移す首長のバックには、それを選ぶ市民がいることは見逃せない点だ。

 「嫌韓」の裏返しは、「日本が一番」というある種の「優越意識」である。しかし、東アジアに限ってみれば、遺伝子組み換え食品への規制基準や表示規制で一番立ち遅れているのは日本だということは、しっかり認識しておくべきだ。国会の議論にも上がってこないのはなぜか、ということでもある。消費者は、こうした「何を食べているか知る権利」は要らないものと思っているのだろうか。

 ◆ 混入率、表示義務の比較
混入率 表示対象
日本 5% 上位3番目まで
食品添加物は表示除外
韓国 3% 上位5番目まで
台湾 3% 全成分
食用油も対象
中国 1%
※中国の混入率は以下による
・African Journal of Biotechnology,2006-1-16

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