バイエルのモンサント買収は最終局面
バイエルによるモンサント買収は最終局面を迎えている、とブルームバーグが9月9日報じた。関係筋の話として、交渉は継続しているが、来週、両社の役員会が予定されているという。昨年来、ダウとデュポンの合併、中国化工によるシンジェンタの買収、バイエルによるモンサントの買収と、農薬・種子業界が「再編」に動いている。まだ先行きは不透明だが、悪徳農薬・種子企業の代名詞「モンサント」の社名が消え去る可能性が大きくなってきた。
・Bloomberg, 2016-9-9バイエルは9月5日、買収価格を1株127.5ドルまで上げたと発表した。モンサントもバイエルも、それ以外は明らかにしていない。ロイターによれば、評価額をめぐる両社の溝は狭いとしてる。しかし、反トラスト法への対応などについて合意が取れていないという。
バイエルがモンサントの買収に成功した場合、買収後の農薬と種子のシェアがそれぞれ約3割に達する。米国やEUなどの関係国の独禁法監査機関の審査で、分割や一部売却が求められるかもしれない。一部には、米国の権益を損なう買収は承認されないだろうという見方もある。
・Bayer, 2016-9-6 ・Reuters, 2016-9-6● 農民組織は[再編」に反対
米国では小規模な家族経営の農家が、こうした「再編」の影響を真正面から受けるとして、全米農民組合(NFU)は9月6日、モンサント買収の進展の報道を受けて、規制当局へ買収を認めないよう求める声明を発表した。
声明は、農薬・種子企業の「再編」は、小農家や地方のコミュニティ、消費者の負担によって大企業に利益を得させるものだとしている。そして、安い農産物価格と高い資材価格が、農場経営に負担となるばかりか、独立した資材企業をも損なうことになり、地方の農家の減少と農村の過疎化を招くという。その上で、規制当局に対して、市場競争をさらに麻痺させる買収の拒絶を求めるとしている。
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