最終更新日:2016年11月30日
2016年
 07年 08年 09年 10年 11年
 12年 13年 14年 15年 17年

20116年11月
12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031
最近の記事
2017.04.18 No.792
2017.04.15 No.791
2017.04.14 No.790
2016年11月の記事
2016.11.30 No.751
2016.11.29 No.750
2016.11.28 No.749
2016.11.23 No.748
2016.11.17 No.747
2016.11.16 No.746
2016年10月の記事
2016.10.01 No.745
2016年9月の記事
2016.09.16 No.744
2016.09.14 No.743
2016.09.14 No.742
2016.09.12 No.741
2016.09.11 No.740
2016.09.07 No.739
2016.09.03 No.738
2016年11月

2016.11.30 No.751
■受粉媒介動物 14億人の雇用と農作物の4分の3に関与
hanaabu_161112_s.jpg
 ハナアブ

 英国レディング大学などの研究チームはこのほど、農業部門の14億人の雇用と全農作物の4分の3が、ハチなどの受粉を媒介する動物(送粉者、ポリネーター)に依存しているとする研究結果を発表した。ハチやチョウなどの送粉者の減少に歯止めがかからないと、食料確保と雇用が危機的な状況に直面すると警告している。論文は11月28日付のネーチャー(電子版)に掲載された。

 この研究に関する英国・レディング大学のプレス・リリースによれば、送粉者による受粉が、大半の果実類、種子、木の実やコーヒー、菜種などを含む重要な農作物の約4分の3に直接的な影響を及ぼしているとしているという。関連する世界の農業部門の雇用は、貧しい途上国を中心に14億人に上り、送粉者の減少に対策を打たない場合、食糧確保ばかりか農業部門の雇用にも影響を及ぼすと警告している。また、送粉者による農作物への寄与は、年間2350億〜5770億ドル(約26兆〜65兆円)に及ぶという。

 研究チームは、送粉者の多くが昆虫であり、ミツバチのCCD(蜂群崩壊症候群)による減少ばかりか、他のハチやチョウも減少していると指摘している。その原因は、生息環境の喪失、農薬、遺伝子組み換え作物、病害虫、気候変動が関係しているとしているという。

 レディング大学のプレス・リリースでは、送粉者の減少に歯止めをかけるための方策を提言している。
  • 農薬に依存した病害虫管理から天敵などを利用した総合的な管理への移行
  • 単一作物栽培(モノカルチャー)をやめ、多様な作物栽培への移行
  • ハチなど送粉者の移動を容易にする「ミツバチ・ハイウェー」の確保
 ・Nature, 2016-11-28  ・University of Reading, 2016-11-28  ・AFP, 2016-11-29

 遺伝子組み換え作物栽培に象徴されるような、農薬を多用する単一作物栽培(モノカルチャー)から脱却し、工業的な農業から、自然との親和性の良い、多様な作物を複合的に栽培する農業への移行がが求められている。それが有機農業であったとしても、モノカルチャーのようでは意味がないということでもある。

 昆虫などの受粉媒介動物による経済効果については、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間プラットフォーム(IPBES)が今年2月、ミツバチなどの花粉媒介動物による世界的な経済的価値は2350億ドルから5770億ドルとする報告書を発表している。今回の研究論文は、この報告書を踏まえたもののようだ。

 日本における受粉媒介動物による経済効果については、今年2月、農業環境技術研究所が分析結果を公表している。その分析によれば、経済効は約4700億円で、その7割が野生種に依存しているとしている。

【関連記事】