

大豆とトウモロコシは、その9割以上が遺伝子組み換え品種が占めている米国では、NON−GM(非遺伝子組み換え)や有機食品の需要が大きくなり、輸入が増えているという。米国の有機食品の売上高は、この10年で年々10%の成長が続き、食品セクターの5%を占めるまでに大きくなった。アメリカの消費者の68%が有機食品を購入し、44%がNON−GM製品を購入したという。こうした需要の高まりに、米国内で生産されるNON−GMや有機農産物、特に大豆とトウモロコシの不足が顕著だという。
この供給不足の穴を埋める形で、インド、ウクライナ、ルーマニアなどからの輸入が急増。輸入有機トウモロコシは2015年の2倍に増え、国内需要の約半分を占め、大豆ではさらに厳しく、80%が輸入に依存しているとみられているいう。こうした需給の逼迫には、NON−GM食肉の需要の増大による飼料需要の増加も要因だという。
認証を受けた有機生産者が増加しているものの、3年の転換期間中の価格と資金的な懸念が、生産者の不安を大きくしているという。さらに、有機農産物の価格プレミアは、地元に買い手がいない場合、輸送費と帳消しとなるため、有機への転換要因にはなりにくいと分析している。
・PR Newswire, 2017-2-13
穀物メジャーの一つであるカーギルもNON−GM製品に参入してきている。カーギルは昨年10月、米国内の消費者の非GM製品への要望に応え、Non-GMO Projectによる第三者認証を受けた、NON−GMの砂糖と甘味料エリトリトール、ヒマワリ油の取り扱いを始めたと発表した。カーギルは15年3月より、NON−GMのヒマワリ油の取り扱いを始めていたが、今回、初めて第三者認証を受けた製品の販売を始めたという。
カーギルによれば、米国のNON−GM需要は、2010年の3億5千万ドルから2016年には190億ドルにまで増加し、2018年まで年率12%の拡大が見込まれるとしている。
・Cargill, 2016-10-16米国の外食産業、食品企業は、NON−GMへの転換が顕著なことも需要増加の要因の一つだろう。米国における有機、NON−GM製品への需要増大が、9割に達した遺伝子組み換え作物栽培殻の転換要因になるとは思えない。米国は、ジャンクな遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆を輸出し、有機やNON−GMの輸入を増大させるのではないか。
【関連記事】- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- イタリアのパスタメーカー グリホサート懸念からカナダ産小麦の輸入を削減
- 欧州市民団体 EU禁止農薬の輸出禁止と使用した食品の輸入禁止を求める
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- グリホサート系国内出荷量 2019年度は前年比5%減
- 厚労省 GM添加物2品目を承認 18品目が手続き中
- 富山県産大豆から残留グリホサート 日消連などは散布中止要請の公開質問状
- 欧州委員会 2030年までの生物多様性・農業戦略を策定 有機農業を25%に
- ラウンドアップ損賠訴訟 原告は4万3千人に急増
- 「安全」とされるフルピラジフロンもミツバチに有害