最終更新日:2017年2月28日
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2017.02.28 No.770
■米国有機基準 ゲノム編集技術を除外へ
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有機農産物を販売する農家(米国)/ Suzie's Farm / Flickr

 米国の全米有機認証基準委員会(National Organic Standards Board)は昨年11月の定例会議において、ゲノム編集技術などの新育種技術による遺伝子操作由来の成分について、従来の遺伝子組み換えと同じように、有機食品としては認めないとする勧告を満場一致で決議した。

 昨年8月に小委員会でまとめられた報告書は、CRISPR-Cas技術を含むゲノム編集、遺伝子サイレンシング技術、遺伝子の人工合成技術、クローン技術など6類型について、有機認証基準では認められない技術として、これらに由来する成分を除外するように提案していた。一方で、マーカー利用選抜(Marker Assisted Selection)は認められる技術として分類されている。

 ・National Organic Standards Board, 2016-8-30

 今回の全米有機認証基準委員会の勧告決議について、食品安全センター(Center for Food Safety)や大地の友(Friends of Earth)は、当然の決議であるとして歓迎する声明を発表している。

 ・Friends of Earth, 2016-11-21

 ゲノム編集技術など“GMO 2.0”と呼ばれるような次世代の遺伝子操作技術が、新育種技術(NBT、あるいはNBPT)として利用されるようになってきている。従来の遺伝子組み換え技術と異なり、遺伝子操作の痕跡が残らないとされるような次世代の技術であっても、有機認証基準とは相容れないとした点は重要だ。食品安全センターなどはこの勧告が実施されるとみているが、米国農務省がこの勧告を受け入れた場合、ゲノム編集に際して、遺伝子操作の検証性の確保が問題となる。一部の研究者からは、「証拠」となる遺伝子セットを挿入することも提案されている。

 一方、米国農務省は昨年4月、米国ペンシルバニア州立大学の研究者がゲノム編集技術で開発した、切り口が褐色になりにくいマッシュルームについて、規制の対象外とする見解を、問合わせへの回答という形で明らかにしている。こうした先行するゲノム編集などの新育種技術による作物の商業化と、今回の有機基準への勧告を、どのように整合させるかが問題となりそうだ。

 ・USDA, 2016-4-14

日本でも新育種技術作物の開発が始まっているが

 日本でも新育種技術を使った作物開発が始まっている。昨年2月、弘前大学が開発したエピゲノム編集と接ぎ木技術によって、導入した遺伝子が塊茎に残らないようにしたジャガイモの栽培試験について文科省の意見聴取会合で議論されている。また、4月には徳島大学がゲノム編集で受粉しないでも実ができるトマトを作出と報道されているなど、日本でも新育種技術による新たな遺伝子操作作物が開発されつつある。

 ・文科省, 2016-2-1

 こうした新育種技術について、北海道大学の石井教授は、安全性の検討がおろそかにされていると警鐘を鳴らしている。石井教授によれば、ゲノム編集の遺伝子操作の成功率は、従来の遺伝子組み換え技術の1%未満に比べれば、10%から、場合によれば数十%と格段に上がっているものの、操作する遺伝子セットを細胞に送り込む“道具”の多くには、従来と同じアグロバクテリウムが使われていて、余分な遺伝子が取り込まれていないかの確認が行われていないケースが多いという。

 農水省は数年前から、新育種技術による作物開発を「安定的」に進めようとしている。一方、有機JAS規格には遺伝子組み換えは使えないことが明記されているが、新育種技術と有機JASの関係については表立って議論が進んでいるようには見えない。

 消費者庁が来年度から進めるとしている遺伝子組み換え食品表示との関係でも、食品情報の開示という点からも、ゲノム編集技術に代表される新育種技術の位置づけは避けて通れない問題のはずだが、どこまで踏み込むのか注意が必要だ。

(参考)
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