再開された新たなネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルの承認手続きが進んでいるが、ミツバチと子どもをまもる実行委員会はこのほど、関係する厚労省、環境省、農水省の大臣にあてて、承認しないよう求める緊急のウェブ署名を始めた。集まった署名は、4月上旬に提出を予定しているという。実行委員会に参加している反農薬東京グループなど4団体はこれまでに、関係する厚労省などに承認しないように求める要望書を提出していた。
実行委員会は、次のように4点を挙げて、承認しないように求めている。
- 農薬の安全性がきちんと確認されていません。発達神経毒性や環境ホルモン作用、複合影響について充分確認されていません。
- アメリカでは養蜂家協会からの強い反対を受け、一度使用が禁止され、その後用途が減らされた農薬なのに、日本では広い用途のまま申請が進められています。
- 今の残留基準がきまったら、日本でネオニコチノイド系農薬とミツバチ被害の関連が確認された稲作にも使用されることになってしまいます。
- 花粉を運ぶ野生の昆虫など生態系への影響がまったく考慮されていません。
この署名は、厚労省が実施中の意見公募(パブコメ)とは別のもので、グリーンピース・ジャパンなどは、パブコメにも意見を出そうと呼びかけている。厚労省の意見公募(パブリック・コメント)には、下記から意見を送ることができる。
・厚労省欧米に比べ緩い日本の規制
ネオニコチノイド系農薬は、ミツバチなどの受粉媒介動物への影響が大きく、EUや米国、カナダなどで規制が進んでいる。中でもフランスは、2018年9月以降、全てのネオニコチノイド系農薬の使用禁止が決まっている。
日本の規制当局は、ネオニコチノイド系農薬が、ミツバチなどに影響を与えていると認めているものの、規制を強めている欧米とは使用法が違うとして、規制しようとはしていない。
日本と同じように欧米でも、スルホキサフロルは散布だけが認められているが、米国ではキュウリなどのウリ科野菜やかんきつ類には使用を禁止し、トマトやピーマンなどのナス科野菜には開花後に限って使用を認めている。
EUでは、ナス科やウリ科の野菜に、成長期に応じて1回だけの散布を認めている。日本の規制は欧米に比べ緩く、米国のような開花後に限定する規制はなく、収穫前日までの最大3回までの散布を認めようとしている。
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