
米国の環境関連や有機農業関連など36団体は3月30日、米国アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏に対して、ネオニコチノイド系農薬製品のネット販売を停止するよう求める要請書を送った。要請書に署名したのはビヨンド・ペスティサイドのほか、食品安全センター、生物多様性センター、大地の友、有機種苗連合、国際有機農業運動連盟(IFOAM)など36団体。
要請書は、食品の3分の1が受粉媒介動物に依存している中、ネオニコチノイド系農薬の影響などで急激に減少している米国のミツバチ類の保護が急務であると指摘。その上で、最大の小売業者であるアマゾンが、そのウェブサイトで販売しているネオニコチノイド関連製品の販売を停止し、その影響力を行使するように 要請している。
多くの製品はきちんと表示されていないため、ネオニコチノイド農薬が含まれ、受粉を媒介するミツバチなどに有害であることを消費者は知らずに使っているとも指摘している。
ネオニコチノイド系農薬を含む製品の販売停止によりアマゾンには、授粉者保護の運動を支援し、持続可能な実践の促進と企業の環境影響削減への関与を作る機会を持ちうると、アマゾンが自ら行動するように促している。
要請書はまた、すでにネオニコチノイド系農薬の段階的排除の方針を明らかにしている小売大手のロウズなどと同様、ネオニコチノイド系農薬を使った園芸植物を取り扱わないように求めた。
NGOが販売停止を要請したネオニコチノイド系農薬を含む製品は110種類。含まれるネオニコチノイド系農薬は、イミダクロプリドの88種類のほか、アセタミプリド、クロチアニジン、チアメトキサムがリストされている。
・Beyond Pesticide, 2017-3-30 ・Beyond Pesticide ほか, 2017-3-30 ・Beyond Pesticide, 2017-3-22米国では、今回のアマゾンへの要請のように、環境関連や有機農業関連団体が連合して反ネオニコチノイドのキャンペーンを展開している。その働きかけなどにより、小売大手ばかりか家庭用農薬メーカーも脱ネオニコを明らかにしている。
- ホームセンター大手のロウズは2015年、生産者と共同で、全ての商品から4年以内のネオニコ系農薬段階的排除を宣言。
- 家庭用農薬メーカーのScottsMiracle-Gro社は16年4月、17年までにネオニコ系農薬(イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン)排除の方針を発表。
- 小売大手のコストコは16年12月、取り扱いの園芸植物へのネオニコチノイド系農薬使用を止めさせると発表。
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