英国で300余りの店舗を展開するホームセンターのB&Qはこのほど、18年2月より販売する園芸植物をネオニコ・フリーとする方針を明らかにした。英国の園芸専門誌Horticulture Week(電子版)が伝えた。B&Qは、ラベンダーだけでも年間100万本以上を販売する大手小売で、販売する園芸植物の一部は、すでに農薬フリーとなっているという。
B&Qの園芸部門トップのクラップ氏は、「ネオニコチノイドは基本的に良くない。大きなユーザーではないが、強い声明を出した今、ネオニコを全く使わない。持続性に関するリーダーシップを示すことは重要」と述べたという。
・Horticulture Week, 2017-4-27英国では2016年から、NGOの38 Degreesが、ミツバチに影響のある農薬の禁止を求める署名運動を進めている。このウェブ署名には、すでに約30万人が署名している。こうした運動が影響を与えていそうだ。
・38 Degrees米国では、反農薬団体や環境保護団体による運動により、ホームセンター大手のロウズとホーム・デポが、ネオニコの段階的排除の方針を明らかにしている。ホームデポは16年5月、段階的にネオニコチノイド系農薬を排除し、2018年中に取り扱いの植物をネオニコ・フリーにすると発表した。すでに80%の取り扱い植物がネオニコ・フリーとなっているとしている。
昨年12月には小売大手のコストコが、ネオニコ・フリーの方針とともに、農薬使用は限定的にするとの方針も明らかにしている。
・Reuters, 2015-4-9 ・Home Depot, 2016-5-4 ・Costco, 2016-6日本のホーセンターは?
今の時期、ホーセンターの店頭には家庭菜園用の野菜苗が大量に並べられている。2005年、農薬取締法の改正により指定種苗制度で、ホームセンターなどで販売される野菜苗や一部の花卉類にも使用した農薬の表示が義務付けられた。
あるホームセンターで見た限り、ほとんどの野菜苗で、ネオニコチノイド系のニテンピラムやジノテフランを使用している。一部の種苗業者は、育苗に使用した農薬を分かりやすく表示している。接木苗の中には、成分・使用回数が累計20回近くのものもある。この例のように使用農薬をきちんと分かりやすく表示しているケースは少なく、表示が隠れていたりして分からないものが多い。使用農薬の表示が分からないような売り方をしているでは、多くの消費者は農薬使用苗とも知らず購入しているのが実情ではないか。
一時、無農薬苗をキャッチフレーズにして販売しているホームセンターもあったが、一般に無農薬の野菜苗を買い求めることは難しそうだ。消費者から、ホームセンターなどに「無農薬の苗」をおくように要望していくことも必要ではないか。
指定種苗制度では、農薬を使用しない場合は表示をしなくても良いことになっている。制度のQ&Aでは、「無農薬」の表示ではなく、「農薬を使用していない苗です」「農薬は使っていません」といった表示を推奨している。
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