EU諸国では、農薬製剤の個人使用の規制が強くなってきているが、スウェーデン化学品監督局はこのほど、農薬などの植物防疫剤の個人使用の強化を発表した。同局は、グリホサートと酢酸が規制の対象となると例示している。スウェーデン政府は昨年9月、植物防疫剤の個人使用の規制強化に関する必要性と可能性の調査を指示していた。この規制強化は、健康と環境保護の改善が目的という。
発表によれば、EU規則に従って、知識なしで使ってもリスクが低い製品だけが今後の個人使用を許可されるという。この新たな規制は、2019年より実施される見込みとしている。
対象製品はEU委員会の評価によるものの、スウェーデン化学品監督局の評価では、グリホサートと酢酸は低リスク製品とはみなされなかったとしている。スウェーデンでは現在、グリホサートを含む除草剤の個人使用が許されているが、規制強化にともない使用はプロユースに限定されるという。規制が強化された後は、それらほとんどの個人使用が禁止されることになるとしている。
・Swedish Chemicals Agency, 2017-5-22EU諸国ではグリホサートに関する規制が強化されつつある。この4月、ベルギー農業相はグリホサート系農薬を農業用に限定するとの方針を明らかにしたと報じられている。ベルギーの規制強化は、2017年末までに農業用でない用途の販売を禁止し、個人宅での使用も禁止するというもの。国際農薬行動ネットワーク・欧州など3団体は歓迎の声明を出し、予防原則に則ったものとして評価している。
ベルギー連邦を構成する3つの地域のうち、ワロン地域とブリュッセル首都圏ではグリホサート系農薬の個人使用が禁止されているものの、販売まで禁止に至っていないが、今回の規制強化により個人使用禁止を確実にするとしている。
・PAN Europe, 2017-4-28EUにおけるグリホサートの農薬登録は昨年6月に登録期限を迎えたが、EU委員会によって17年末まで暫定的に登録が延長されている。正式な登録延長は、フランスなど一部加盟国の反対があり、特定多数を得られていない。17年末にEU委員会がさらに登録を延長する可能性がある。一方で、グリホサートの禁止を求める市民発議の署名が始まっていて、成立要件の100万人は突破しそうな勢いだ。
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