EUでは今、除草剤や殺虫剤について農業以外での使用禁止の流れが少しづつ動き出している。フランス元老院(上院)はこのほど、EUに対して、農業以外での農薬使用禁止の法的規制の調査を求める決議を全会一致で決議した、と国際農薬行動ネットワーク・欧州とジェネレーション・フューチャーが歓迎する声明で伝えた。
決議は、EU全域での行政組織の農薬使用禁止と民間個人への農薬販売の禁止について、EUによる法的規制の調査を求めるという。フランスは2017年1月より、道路や鉄道などを除き、原則として公共の場での農薬使用が禁止された。この法律はまた、2019年1月以降、個人宅の庭における農薬使用と業としない個人への農薬販売を禁止するという。
この決議を受けた声明で、国際農薬行動ネットワーク・欧州(PAN Europe)のVeillerette氏は、「この決議は直接の立法でないが、農薬フリーのヨーロッパへ向かっていることを示している。我々は、このイニシアティブを歓迎するとともに、他のEU加盟国の議会が同様の決議を採択するように要請する」と述べている。
・PAN Europe, 2017-5-31欧州における農薬の個人使用規制の動きは、フランス以外にもいくつか出てきている。ベルギーは、グリホサート系農薬を農業用に限定し、2017年末までに農業用でない用途の販売を禁止し、私的な庭での使用も禁止するという規制強化方針を明らかにしている。スウェーデンもグリホサートのようなリスクのある農薬の個人使用を禁止する方針を明らかにしている。
日本では、農水省が2012年に「住宅地等における農薬使用について」という通知を出し、住宅地での農薬使用よる飛散防止や回数の削減などを求めている。義務ではなく、お願いレベルに留まっているため、通知の有効性には各地の市民から疑問が出されているのが実情のようだ。
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