日本消費者連盟(日消連)と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは6月30日、消費者庁・岡村長官と遺伝子組換え表示制度に関する検討会・湯川座長に対して、全ての食品に遺伝子組み換え表示を求める要請書を送った。消費者庁の遺伝子組み換え食品表示の見直し検討会は、この4月に始まった。これまでの2回の会合での議論からは、事業者側を慮ったような発言が多く、表示規制の拡大はかなり限定的なものになりそうな展開となっている。
日消連などは要請書で、現状の遺伝子組み換え食品表示制度は不備だとして次のように指摘している。
その上で要請書は、消費者庁が、その名の通り消費者の立場に立ち、消費者の知る権利や選択権を保証する表示制度を求めている。具体的には、「全ての食品を遺伝子組み換え表示の対象とすること」「意図せざる混入率を0.9%未満に引き下げること」の2点を求めている。
要請書はまた、消費者団体ヒヤリングが1回であるのに対して、事業者のヒヤリングが2回予定されていることにも抗議し、検討会の趣旨にもとづき、改めて消費者からのヒヤリングを行うように求めている。
・日本消費者連盟, 2017-6-30検討会の次の会合は7月19日で、事業者からのヒヤリングが予定されている。
・消費者庁世界的にも立ち遅れが目立つ日本の表示制度
日本の意図せざる混入率5%は、世界的にはとても大きく、立ち遅れているのが実情だ。各国の意図せざる混入率は、EUは0.9%、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジルなどは1%、韓国、台湾は3%である。
また、日本の表示制度では、重量比で5%以上で上位3位以内にのみが表示の対象である。しかし、韓国や台湾はすでに、重量比に関係なく、遺伝子組み換え食品や添加物を使っていた場合の表示を義務つける全成分表示を実施している。
日本の遺伝子組み換え食品の規制では、トレーサビリティの枠組みとしてはIPハンドリング(分別集荷)証明があるぐらい。消費者庁は今回の検討会に先立ち、EUの制度を調べている。その中で、EUが0.9%の混入率を維持できているのは、トレーサビリティ制度が整っているからだ、とドイツの例を引いて報告している。
台湾は、大豆とトウモロコシについて、遺伝子組み換え品であるか、それとも非遺伝子組み換え品であるかを、輸入時のHSコード(関税番号)で規定している。日本では、HSコードでの切り分けはなく、どれほどの遺伝子組み換え品が輸入されるか把握できていない。輸入量は推定に頼っているのが実情だ。
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