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インド・マハラシュトラ州東部のヤバトマルの綿作農民が、遺伝子組み換え綿に耐性を持ったワタキバガの幼虫駆除に使った農薬により15人以上が死亡しているとヒンズー紙(インド)が報じている。
ヒンズー紙によれば、Profex Superというプロフェノホス(有機リン系殺虫剤)とシペルメトリン(ピレスロイド系殺虫剤)の複合農薬の散布による農薬中毒が原因だとしている。600以上の農薬中毒が報告されており、死者が15人以上に達しているという。農民は保護具なしで散布していることも原因だという。州政府が農薬を使った農業を禁止しないならば、農場労働者が死に続けるとの声もでているという。
インド中西部に位置するマハラシュトラ州では約410万ヘクタールでワタが栽培されており、その98%が害虫抵抗性(Bt)遺伝子組み換え品種で占められている。このモンサントの第2世代のBt品種(BG2)は、全草に含まれている殺虫Bt毒素で、食害しようとするワタの害虫であるワタキバガの幼虫を殺すというもの。しかし、20%〜25%の幼虫がBt毒素に耐性を持つようになり、収穫を減少させるようになってきたという。
ターゲットのワタキバガの幼虫が耐性を持たないように、非Bt種を周辺で栽培しなければならないが、農民はBt種だけを栽培したことで、耐性を持つワタキバガが増えてきたという。
・Hindu, 2017-10-1インドでは遺伝子組み換えBt綿の種子価格が大きな問題となっている。連邦政府は、モンサントにロイヤリティの引き下げによる種子の価格引下げを求めていた。モンサントは2016年、インドに対する第3世代の遺伝子組み換え品種の導入を「断念」を明らかにしていた。ブルキナファソは、モンサントの遺伝子組み換え綿をやめ、従来品種へと転換して、今年は増収だったという。モンサントのロイヤリティを軸とした収奪のビジネスモデルがほころびをみせたともいえる。
インドでの行き詰まりにモンサントは、インドにおける綿種子事業を売却と撤退を明らかにしたと報じられている。しかし、第2世代までの遺伝子組み換えBt綿の種子は、モンサントのインドにおけるパートナー企業であるマヒコ社との合弁企業Mahyco Monsanto Biotechが販売を継続するという。とはいえ、少なくとも、モンサントの新たな遺伝子組み換え綿の導入はなくなることは確実になる。
・Reuters, 2017-9-8 ・Economics Times, 2017-9-8インドでは、農薬と水が必要な遺伝子組み換え品種の不作などにより、数十万人ともいわれる農民の自殺が問題となっていた。その原因の一つには、高価な種子価格があり、連邦政府が引き下げを求めて介入するまでにになっていた。その一方で、非GM品種への転換や、豆など綿以外への転作で綿の栽培面積が減少していると報じられていた。ヒンズー紙が報じているように、緑の革命以来の農薬依存の農業からの脱却が、自殺や農薬中毒のような悲惨な状況を解決することになるだろう。
米国農業に代表される、大規模で画一的な単一栽培(モノカルチャー)が、世界中のどこでにも適用できるわけではないこともはっきりしている。アフリカなどの開発国では、農薬や化学肥料に依存するのではなく、周辺環境や生物多様性を生かした生態系農業(アグロエコロシー)が注目されている。環境が激変している中、破壊や収奪ではなく、環境と共生する農業でなければ持続することができないことが、より一層はっきりとしてきたのではないか。
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