最終更新日:2017年10月6日
2017年
 07年 08年 09年 10年 11年
 12年 13年 14年 15年 16年
 17年 18年 19年

2017年10月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031
最近の記事
2022.12.29 No.1152
2022.12.25 No.1151
2022.11.30 No.1150
2017年10月の記事
2017.10.27 No.863
2017.10.25 No.862
2017.10.24 No.861
2017.10.19 No.860
2017.10.17 No.859
2017.10.16 No.858
2017.10.10 No.857
2017.10.06 No.856
2017.10.05 No.855
2017.10.04 No.854
2017.10.03 No.853
2017.10.01 No.852
2017年9月の記事
2017.09.28 No.851
2017.09.27 No.850
2017.09.26 No.849
2017.09.25 No.848
2017.09.23 No.847
2017.09.22 No.846
2017年10月

2017.10.06 No.856
■地球規模に広がるネオニコ汚染 世界の蜂蜜の75%から見つかる
honey-bees_s.jpg / pixabay
honey bee / PollyDot / pixabay

 スイスのヌーシャテル大学などの研究チームは10月6日、世界各地の蜂蜜の75%が少なくとも1種類のネオニコチノイド系農薬を含んでいるとの研究結果をサイエンス誌に発表した。2000年代に入って世界的に使用が広がったネオニコチノイド系農薬は、ミツバチの大量死の原因とみられているが、今回の研究結果は、ネオニコチノイド系農薬の汚染が世界規模に広がっていることを明らかにした。ミツバチのみならず、地球的な規模で、花蜜に依存する野生の送粉者(ポリネーター)に影響を及ぼしていることも示している。

 研究チームは、世界各地から198の蜂蜜のサンプルを集め、そこに5種類のネオニコチノイド系農薬(アセタミプリド、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサム)が含まれるかを調査した。その結果、75%のサンプルで、少なくともいずれか1種類のネオニコチノイド系農薬を含んでいたとしている。サンプルの45%は少なくとも2種類を含み、10%は4種類、もしくは5種類を含んでいたとしている。

 少なくとも1種類のネオニコチノイド系農薬が見つかったサンプルは地域的に最も多かったのは北米で、86%から見つかったとしてしている。アジアでは80%から、ヨーロッパでは79%から見つかり、南米のサンプルでは57%だったとしている。太平洋の真ん中の島や、西アフリカの沖合の島のサンプルからも見つかったという。

 研究チームは、今回の調査で検出されたネオニコチノイド系農薬の量は、人の健康には影響にないレベルだとしている。

 共同通信によれば、「ミツバチの生態に影響を与える恐れがある。他の農薬が加わることで、より深刻になるかもしれない」と研究チームが指摘しているという。

 ・Science, 2017-10-6  ・Science, 2017-10-5  ・共同, 2017-10-6  ・Nature, 2017-10-5

日本の蜂蜜のネオニコ濃度は世界的にも高い

 研究チームが公開しているデータによれば、日本からのサンプルは静岡県浜松市、大分県国東市、岡山県玉野市の3地点。3地点ともミカンなどの果樹栽培地域だが、サンプルの蜂蜜が移動養蜂によるものかは不明である。サンプルからは、アセタミプリド、クロチアニジン、イミダクロプリドはいずれからも検出されている。玉野市産からは、チアクロプリドとチアメトキサムも検出されている。

 アセタミプリドの濃度についてみると、国東市と玉野市のサンプルの濃度は、蜂蜜1グラム当り10ナノグラムを超え、高いグループに入っている。3か所の地点は、公開データの位置情報(緯度と経度)から特定した。

 ● 検出濃度 [ng/g honey]
静岡県浜松市 大分県国東市 岡山県玉野市
アセタミプリド 0.125 21.786 11.038
クロチアニジン 0.018 0.617 1.829
イミダクロプリド 0.030 0.274 2.198
チアクロプリド < LOQ < LOQ 0.002
チアメトキサム < LOQ < LOQ 0.195
 ※LOQ: limit of quantification 定量下限
 ・Science, 2017-10-6

 蜂蜜の残留基準値はアセタミプリド(0.2ppm)が設定されているが、そのほかの4種類に残留基準値の設定はない。

 ・日本食品化学研究振興財団
  食品に残留する農薬、動物用医薬品及び飼料添加物の限度量一覧表

 日本でも8月、千葉工業大の研究チームによって同様の研究結果が報じられている。共同によれば、東北から沖縄の9都県の73サンプル全てでネオニコチノイド系農薬が検出され、6割以上が暫定基準を上回ったという。

 ・日経, 2017-8-28

 ネオニコチノイド系農薬の検出が最も多かった米国では、種子コーティング用のネオニコチノイド系農薬の使用量が2005年ごろから急速に増大している。

 今年6月には、バイエルクロップサイエンスなどが資金提供した、英国、ドイツ、ハンガリーで行われた大規模な屋外調査の結果、ネオニコチノイド系農薬に曝されたミツバチのコロニーの減少が確認されたと発表されている。

 EUでは2013年12月より、イミダクロプリドなど3種類のネオニコチノイド系農薬の使用を一時的に禁止し再評価を進めている。近くこれら3種類が、正式に全面的に使用が禁止されると見られている。カナダ政府は2016年11月、段階的にネオニコチノイド系農薬の一つイミダクロプリドの段階的禁止を明らかにした。また、ミツバチの大量死に直面したカナダ・オンタリオ州は、2015年から段階的にコーンと大豆への使用を原則的に禁止している。

(2017.10.10 更新)


【関連記事】
カテゴリー
よく読まれている記事