欧州議会本会議は10月24日、グリホサートの登録延長について、家庭用の即時禁止と、農業用を2022年12月までに完全に禁止するよう求める決議を賛成多数で可決した。決議はまた、EU委員会のグリホサートのリスク評価の公開を求めている。この議決に先立ち欧州議会環境委員会は19日、2020年12月までの完全禁止を求める決議を賛成多数で可決していた。本会議の決議は、環境委員会の3年での禁止決議を5年での禁止に延長した。この欧州議会の決議に拘束力はないものの、EU委員会での加盟国の投票を前に議会が、10年の延長に反対との姿勢を明らかにした。背景には、欧州市民のグリホサートに対する安全への懸念が大きい。
・European Parliament, 2017-10-24 ・European Parliament, 2017-10-19EU委員会は、10年間の登録延長について加盟国の投票を25日に予定している。この投票に関し、すでにイタリア保健相が反対に投票すると明言していると報じられている。延長反対が特定多数を得られない場合、EU委員会によって登録が延長されるのではないか。フランスは先ごろ、農業用の2022年までの使用禁止の方針を明らかにしている。個人使用に関してはスウェーデンとベルギーが方針を明らかにしている。
安全懸念を背景に、今年1月に始まったグリホサートの完全禁止を求める市民発議(ECI:European Citizens Initiative)は、要件の100万人の署名を達成し、10月6日に107万筆の署名をEU委員会に提出した。EUの市民発議には法的な義務があり、11月には欧州議会で公聴会が開かれるという。この市民発議が有効となった場合、EU委員会は来年1月までに、市民発議の要求にどのような措置をとるのかを明らかにしなければならない。
・European Commissionこのグリホサートの農薬登録延長について、欧州では農薬業界とともに農業団体が禁止に強く反対しているという。
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