遺伝子組み換えワタ生育調査結果
農水省は11月29日、2016年度の輸入ワタ種子の自生調査結果を公表し、昨年度に「生育」が確認されなかった飼料工場の周辺から、1個体の生育を確認したという。3年連続で「生育」を確認したとしているが、運搬などでこぼれ落ちた種子が発芽し育ったもので、その場所で世代を代えて生育する自生ではないとしている。これらの「生育」していたワタが遺伝子組み換え品種であったかは明らかにしていない。2014年12月には、市販のワタの種子から遺伝子組み換え品種の混入が見つかり、農水省は回収を指示していた。
農水省は「自生」はないとしているが、2014年度、15年度には、開絮(かいじょう。綿がはじけ白い繊維が見える状態)前の結実したものが見つかっているとしている。また、遺伝子組み換えワタの隔離ほ場試験の越冬性試験で、非遺伝子組み換えワタ、遺伝子組み換えワタともに全て枯死することが確認されていることから、自生の可能性はないとしている。
・農水省, 2017-2-14 ・農水省, 2017-11-29 ・農水省農水省は2014年度から、ワタ種子の輸入港周辺の営業倉庫(3施設)、飼料工場(3施設)、製油工場(1施設)の計7施設の敷地の周辺(半径500m以内)の調査を継続して行なっているが、港名や施設名を明らかにしていない。しかし、今年2月に公表された2014年度15年度の調査結果では、「平成26年の主な輸入港は横浜港(2.5万トン)、大阪港(2.4万トン)、博多港(1.9万トン)であった」とあり、これら3港にある施設が継続調査の対象とされているようだ。農水省によれば、国内で輸入綿実から搾油しているのは大阪府内の製油会社が唯一だとしている。
貿易統計によれば、搾油用や飼料用の綿実は、2016年に約10万トンが輸入されている。輸入先の遺伝子組み換え作付比率(農研機構のまとめ。2014年)を考慮すると、輸入綿実の9割以上が遺伝子組み換え品種と思われ、市販の綿実油の多くは遺伝子組み換え原料を使っているようだ。しかし、日本の食品表示制度では、食用油に遺伝子組み換え原料を使用していても、遺伝子組み換え表示は不用であり、消費者には分からない表示となっている。
輸入先 | 輸入量[t] | GM比率[%] |
---|---|---|
オーストラリア | 56,226 | 99.5 |
ブラジル | 29,253 | 47 |
米国 | 7,770 | 90 |
その他 | 6,464 | |
合 計 | 99,713 |
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