農水省と環境省は5月31日、新たに10品種のペチュニアが未承認の遺伝子組み換え品種であったと発表した。すでに見つかっているタキイ種苗の4品種とあわせて14品種となった。新たに見つかったのは、サカタのタネで4品種、ゲブラナガトヨで6品種であり、今年販売済みは計約12万鉢だとしている。この未承認遺伝子組み換えペチュニアは、4月にフィンランドで見つかり、その後英国や米国などでも見つかっている。日本では5月10日、タキイ種苗の販売したペチュニア4品種が汚染されている、と発表されていた。
パインといえば鮮やかな黄色と相場は決まっていたが、果肉がピンクのパイナップル「ロゼ」が話題になっている。公式発表はないものの、近く、米国で販売が始まるのではと取りざたされ、インスタグラムには、このピンクのパイナップルの写真がいくつか掲載されている。ピンクのパイナップルは偽ニュースではなさそうだ。
EU諸国では、農薬製剤の個人使用の規制が強くなってきているが、スウェーデン化学品監督局はこのほど、農薬などの植物防疫剤の個人使用の強化を発表した。同局は、グリホサートと酢酸が規制の対象となると例示している。スウェーデン政府は昨年9月、植物防疫剤の個人使用の規制強化に関する必要性と可能性の調査を指示していた。この規制強化は、健康と環境保護の改善が目的という。
5月30日に予定されている食品安全委員会で、シンプロット社の加熱時のアクリルアミド低減がうたい文句の遺伝子組み換えジャガイモに「安全」の評価が決まりそうだ。3月に「ヒトの健康を損なうおそれはない」として意見公募が行われていた。
94%の飼養ミツバチが拡散した農薬に曝される
米国・パデュー大学の研究チームはこのほど、トウモロコシのネオニコチノイド系殺虫剤の種子コーティングにより、トウモロコシ圃場から100メートルの区域がネオニコチノイド系殺虫剤によって汚染され、インディアナ州のミツバチの94%が危険に曝されているとする研究結果を発表した。研究では、種子処理の有無による収穫量の差はなかったともしている。米国環境保護庁は2014年、大豆の種子処理による経済的な利益はほとんどないという研究結果を発表しているが、トウモロコシでも経済的な効果がなかったことが明らかになった。
安全と評価
食品安全委員会は5月23日、除草剤耐性遺伝子組み換えトウモロコシと遺伝子組み換え微生物を使った製パンなどに用いる添加物について安全として意見公募を決めた。また、遺伝子組み換え微生物利用の家畜用飼料添加物も安全として農水省への通知を決めた。
残留基準値を決める厚労省は「科学的」か?
「ミツバチと子どもをまもる実行委員会」は5月19日、新しいネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルを登録しないよう求める署名を厚労省へ提出し要請を行った。署名は、3月1日から2か月半で7818筆が集まったという。対応した厚労省残留農薬等基準審査室は、残留基準値は科学的に決められており問題ないとした。
農水省は5月18日、遺伝子組み換えのダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタなど7種を承認した。うちワタの3品種は、いずれも隔離圃場での試験栽培を承認した。残り4品種は、ダイズ2品種、トウモロコシとナタネが各1品種で、ダイズの1品種を除き、一般栽培を承認した。
モンサントが資金援助を凍結
アフリカで数少ない遺伝子組み換え作物栽培国であったブルキナファソは昨年初め、低品質で価格が低迷したモンサントの遺伝子組み換えワタから段階的な撤退を図った。このブルキナファソの影響によりガーナでは、モンサントの資金援助が凍結され、2016年に遺伝子組み換えワタの試験栽培が中止となったという。
提案集会
農薬というと、ネオニコチノイド系農薬の残留基準値の緩和など食生活に直結した問題に目が向く。その一方では、住宅地周辺や公園などで、松枯れ対策など病害虫防除を目的とした農薬散布も行われている。こうした中、農水省が旗を振る「平成29年度 農薬危害防止運動」を前に、市民の側から農薬使用に提言しようという集会が5月31日に開かれる。
規制機関が承認
インドの遺伝子組み換え規制機関である遺伝子工学評価委員会(GEAC)は5月11日、インドで初の食用遺伝子組み換え作物となる遺伝子組み換え(GM)マスタードの商業栽培を承認した。デリー大学で開発された遺伝子組み換えマスタードは15年12月、商業栽培が申請されていた。この承認により、商業栽培は環境大臣の判断を待つだけとなった。しかし商業栽培には、遺伝子組み換え作物に反対する農民組織などが反対運動を展開してきた。政権与党の支持組織も反対している。
バイエルは除草剤とGM種子事業を売却へ
南アフリカ競争委員会はこのほど、バイエルの除草剤リバティ事業の売却などを条件に、バイエルのモンサント買収を承認したと発表した。バイエルとモンサントは昨年9月、バイエルによる買収で合意した。この買収は、関係国30か国の競争規制機関の承認審査をクリアする必要がある。
農水省は5月10日、未承認遺伝子組み換えペチュニアの回収をタキイ種苗に指示したと発表した。この遺伝子組み換えペチュニアの“起源”や組み込み遺伝子についての発表はないが、9日付の英国のテレグラフ(電子版)が一端を報じている。
混入が見つかりタネ・苗を回収へ
農水省は5月10日、タキイ種苗が未承認遺伝子組み換えペチュニアを販売したことを確認し、既に販売した該当品種の種子を回収するよう指導すると発表した。フィンランドで見つかった遺伝子組み換えペチュニアに関し、タキイ種苗から1品種が該当との報告を受けて立ち入り検査を実施したところ、あわせて4品種の未承認遺伝子組み換えペチュニアを確認したとしている。日本で栽培が承認されている花卉類は、カーネーション(8品種)とバラ(2品種)だけで、栽培が承認されたペチュニアはない。
米国連邦地裁は5月8日、米国環境保護庁がネオニコチノイド系農薬の登録手続きが絶滅危惧種保護法に違反していたとする決定を下した。この裁判は、2013年3月、米国の4人の養蜂家と食品安全センター(CFS)、農薬行動ネットワーク・北米(PAN)、シエラクラブなど提訴していたもの。
大地の友・米国は5月3日、米国小売大手のウォルマートとトゥルーバリュー、が2018年春までに取扱い園芸植物からネオニコチノイド系農薬排除の方針を明らかにしたと発表した。昨年12月のコストコに続く米国小売大手のネオニコ排除の動きとなる。
台湾・衛生福利部食品薬物管理署は先ごろ、2016年の輸入食品検査統計を発表した。不合格の上位には、日本産のシソやミカンが入っていると注記で指摘した。いずれも残留農薬が、日本より厳しい台湾の残留基準値を超えていることによる。日本では問題にならない残留値でも違反となっている。この違反状況は、日本の残留農薬の様相の一端を知る手がかりになる。
持続可能な調達目標を公表
日本の有機農業は面積でもわずか0.6%(農水省推計)と少なく、消費者が、容易に有機農産物を購入できる環境にはない。スーパーなどの多くは、ほとんど取り扱っていないか、あってもごく小さなコーナーのような扱いが現状だ。こうした状況の中、スーパー大手のイオンは、有機農産物の取扱いを5%にまで増やすこと目標とするなどを明確にした、2020年までに達成する調達目標「イオン持続可能な調達方針」を発表した。
有機農産物の販売拡大を求めるキャンペーン
グリーンピース・ジャパンはこのほど、大手スーパーや生協に対して、有機農産物の販売拡大を求めるキャンペーン『いつものスーパーでオーガニックを』を始めた。
ロンドン大学などの研究チームは5月3日、ネオニコチノイド系農薬のチアメトキサムが、マルハナバチの女王バチの生殖能力に影響しているとする研究結果を英国王立協会紀要(電子版)に発表した。実験は、4種類のマルハナバチの女王バチを使って行われたもので、自然で曝されると想定される高濃度のチアメトキサムを含む餌を与えられた場合、卵母細胞の平均的な長さが減少し、産卵した卵のサイズが小さくなったという。卵巣発育の悪化は、コロニーの成長を妨げ、生息数の減少を示唆するという。マルハナバチは、牧草のクローバーの重要な受粉媒介昆虫(送粉者)の一つ。
人家などへのドリフト最小化を求める
カナダ保健省は4月28日、グリホサートに関する再評価結果を公表した。グリホサートに発がん性はないとする一方、表示規制を改訂した。その上で、新たな表示規制に従った使用をする限り、人の健康↓環境に問題はないとしている。あわせて、食品の残留グリホサートも人の健康に問題がないとしている。グリホサートはカナダで最も多く使用される除草剤であり、農業用としても非農業用としても重要な除草剤だとしている。
ベルギー農業相は4月27日、グリホサート系農薬を農業用に限定するとの方針を明らかにしたという。2017年末までに農業用でない用途の販売を禁止し、私的な庭での使用も禁止するというもの。国際農薬行動ネットワーク・欧州など3団体は28日、この方針を歓迎する声明を出した。この方針が予防原則に則ってなされたとして評価している。
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