2017年暮れにスルホキサフロルが新規に農薬登録された。世界的にミツバチや生態系に大きなリスクがあると指摘され、一部では使用が禁止されている浸透移行性農薬は、フィプロニルとエチプロールを含む21種類が新たに登録された。これにより登録されている浸透移行性農薬は合計475種類。今年新たに登録の約6割が稲用となっている。
日本弁護士連合会(日弁連)は12月21日、予防原則に立ちネオニコチノイド系農薬の禁止を求める「ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書」を取りまとめ、農水大臣へ提出したと発表した。日弁連は意見書で、次の3項目を要求している。
農水省は12月25日、新たなネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルについて、新たにダウ・アグロサイエンスなど3社の6種類を農薬登録した。同時に厚労省も25日、スルホキサフロルの残留基準値を官報で告示した。スルホキサフロルは2016年3月、米国で承認取り消しを受けて、厚労省審議会での承認作業が中断したが、2017年2月、米国での再登録を受けて再開していた。
厚労省は12月5日、除草剤グリホサートの残留基準値を大幅に緩和する改正を告示した。小麦ではこれまでの5ppmが30ppmに緩和されるなど、大きく緩和された。
カナダ保健省は12月19日、ネオニコチノイド系農薬のクロチアニジンとチアメトキサムの環境影響評価を公表するとともに、新たな規制案を発表し意見公募を始めた。公表された規制案では、果樹やウリ科野菜など一部の作物への開花期の使用禁止や段階的禁止、家庭での使用禁止というもの。たとえ一部の段階的・部分的な禁止であったとしても、日本の規制状況からすれば天と地ほどの差がある。
EU委員会は12月15日、バイエルのモンサント買収に関し、バイエルがより重要な譲歩をしないかぎり買収を認めない方針を正式に伝えた、とPoloticoが報じた。EU委員会からの公式の発表ではなく、関係者2人の話だとしている。Politicoによれば、この通知は「ブリュッセルの最後通牒」だという。
農水省は12月15日、未承認遺の伝子組み換え(GM)ペチュニアについて、さらに4社の10品種6万鉢が該当していたと発表した。は今年4月、遺伝子組み換えペチュニアフィンランドで見つかったことから、農水省が国内の種苗会社に自主検査を求めていたが、最終的に1359品種の検査が終わり、23社が販売した60品種が未承認の遺伝子組み換えペチュニアだったというもの。古い品種では2005年から販売されていたとしている。
12月12日、13日の両日、EU委員会の植物・動物・食品・飼料常任委員会(PAFF)が開催された。この常任委員会でイミダクロプリドなど3種類のネオニコチノイド系農薬の禁止について加盟国の投票で決定するのではないかと見られていたが、来年前半まで延期したという。
スイス連邦農業研究センター(Agroscope)の調査の結果、鳥のエサの8割から発芽力のある遺伝子組み換えナタネが見つかった、とスイスインフォが報じた。検査した30サンプルのうち24サンプルから、EUで飼料として承認されているモンサントのGT73、バイエルのRF3とMS8といった遺伝子組み換えナタネが見つかったという。11サンプルには複数のGMナタネが含まれていたという。
FAO(国連食糧農業機関)は11月30日、ウチワサボテンが食料安全保障にとって重要な作物であり、食糧危機を救う作物になりうると発表した。ウチワサボテンは食べられる上に、1ヘクタール当り180トンの水分を供給でき、さらには温室効果ガスの排出削減にも効果があるという。ウチワサボテンはアグロエコロジーにとっても重要な作物だと指摘している。
フランス・ニース地方行政裁判所は11月24日、スルホキサフロルを含む2つの農薬を一時禁止とする予備判決を下した。フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は今年9月、ダウ・アグロサイエンスのスルホキサフロルを含むクローザーとトランスフォームの2つの殺虫剤を承認したが、環境団体のジェネレーション・フューチャーが差し止めを求める行政訴訟を10月に起こしていた。
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