米国下院のブルメナウアー議員とマクガバン議員は2月14日、「米国ポリネーター保護法」を再提出すると発表した。法案は環境保護局(EPA)に対して、ネオニコチノイド系殺虫剤の使用を一時禁止した上で、完全な評価を行い、これらの殺虫剤の使用がミツバチなどのポリネーター(花粉媒介者)に有害な影響を及ぼさないことを明確にすることを求めるというものだという。実質的にネオニコ系農薬禁止法案といえそうだ。法案の詳細はまだ公開されていない。
ブルメナウアー議員らは昨年6月、「2017年送粉者保護法(H.R.3040)」を共同提案していた。昨年の法案は、イミダクロプリドなどの全てのネオニコチノイド系農薬を一時禁止とし、その上でEPAが180日以内に無害であることを証明しなければならないというもの。
・Reps. Blumenauer, 2018-2-14 ・Center for Biological Diversity, 2018-2-14 ・Beyond Pesticides, 2018-2-16欧米では規制強化の流れ
13年12月にネオニコ系のイミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジンを一時的に禁止し再評価を進めてきたEUは、これら3剤を禁止する方針を明らかにしている。昨年秋には、さらに規制を強化する方向とも報じられている。フランスは18年9月からネオニコ系5剤が全面的に禁止される。英国は昨年11月、マイケル・ゴーヴ環境相の声明で、ネオニコ系農薬の禁止に賛成の方針を明らかにしている。
米国は2015年4月、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフランについて、新規データの提出とリスク評価完了まで新規の用途登録や変更を停止した。
カナダ保健省は16年11月、イミダクロプリドについて原則3年で段階的に使用禁止する方針を公表し、17年12月にはクロチアニジンとチアメトキサムについて一部作物への使用禁止を含む規制強化を発表している。
一方日本では、昨年12月、スルホキサフロルが新たに承認されるなど、規制への動きは見られない。
【関連記事】- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増