農水省と環境省は3月1日、カルタヘナ法にもとづきトウモロコシやトマトなどの遺伝子組み換え作物5品種について意見公募を始めた。規制なしの栽培承認の対象は日本モンサントの除草剤耐性GM大豆、リマグレン(フランス)とシンジェンタの除草剤耐性GMトウモロコシの計3品種。隔離圃場での試験栽培は、ミラクリン産生GMトマトと青紫色ファレノプシス(コチョウラン)の2品種。締切りは3月30日。
・環境省, 2018-3-1特区で承認プロセスの簡素化を要望
筑波大学とインプラタイノベーショズが申請したミラクリン産生GMトマトは、西アフリカ原産のミラクルフルーツに含まれる酸味を甘味に感じさせるミラクリンを、遺伝子組み換えトマトで作り出すようにしたもの。ミラクルフルーツ由来の遺伝子とともに、マーカー遺伝子に抗生物質耐性遺伝子を組み込んでいるとしている。筑波大学の隔離圃場で試験栽培を予定しているという。
昨年の生物多様性影響評価検討会総合検討会でミラクリン産生GMトマトが審査された。検討会は、このGMトマトと交雑する「野生の近縁種」がないので問題はないとしている。しかし、GMトマトが屋外で栽培された場合、その周辺の一般のトマトとの交雑懸念は残ったままだ。
・環境省 ・環境省このミラクリン産生GMトマトは、つくば国際戦略総合特区のプロジェクトとして進められている。開発側の資料では、特区制度を利用し、「手続きの簡素化を行なうための仕組み作りを提案」「食品安全性評価を行う際の手続き効率化を要望」と、遺伝子組み換え作物と食品の承認プロセスの簡素化を要望している。ただでさえ問題が指摘されているGM作物・食品の承認手続きが、今以上に骨抜きにされる可能性がある。
ミラクリン産生GMトマトは現在、食品安全委員会で、食品と飼料について健康影響評価が行なわれている。
・つくばグローバル・イノベーション推進機構, 2017-10筑波大学の隔離圃場での試験栽培が予定されている青紫色ファレノプシスは、筑波大学とインプラタイノベーショズ、石原産業の3社が開発したコチョウランで、ツユクサ由来の遺伝子を組み込んだという。生物多様性影響評価検討会は、園芸種のコチョウランと野生近縁種が交雑した例はないとしているが、公開された申請書では交雑試験は行なっていない。
・環境省つくば市には筑波大学の隔離圃場のほかにも、GMイネの試験栽培が行われている農研機構の隔離圃場もあり、「シリコン・バレー」ならぬ「GMバレー」の様相を呈してきている。
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