アクト・ビヨンド・トラストによる18年度の「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募助成の公開プレゼンが3月18日に開かれる。18年度の公募は「調査・研究」に限定され、一次審査を通過した6件のプレゼンテーションが行なわれる。
折しも2月26日には、浸透性殺虫剤タスクフォースによる新たなネオニコチノイド系農薬の代替作はIPMが有効であるとする論文が発表され、28日には欧州食品安全機関がネオニコチノイド系農薬が野生のミツバチ類を含むポリネーターに有害であるとする調査結果を発表してる。アクト・ビヨンド・トラストは、ネオニコチノイド系農薬に関する研究最前線の動向を示す発表が含まれているとして、市民やメディア関係者の参加を呼びかけている。
・アクト・ビヨンド・トラスト- ネオニコチノイド研究会
「ネオニコチノイド系殺虫剤の母子間移行メカニズムの解明」 -
農民連食品分析センター
「市販国産鶏卵のフィプロニル残留分析」 -
亀田豊
「石垣島をケーススタディとした養蜂家蜂コロニーのネオニコチノイド暴露経路解析」 -
マキシミリアン・スピーゲルバーグ
「ネオニコチノイドと暮らす:京都におけるネオニコチノイドを含有する家庭用品の使用状況、消費者動向・意識の探求」 -
特定非営利活動法人福島県有機農業ネットワーク
「有機農産物摂取による尿中のネオニコチノイド低減に関する調査研究」 -
山國徹
「哺乳類末梢・中枢神経系におけるイミダクロプリドの神経毒性発現メカニズムの薬理学的解明」
今回応募の農民連食品分析センターは昨年、欧州における鶏卵のフィプロニル汚染の広がりを受けて、同センターの自主的な調査として日本の市販鶏卵のフィプロニル汚染の現状を調査して発表している。
・農民連食品分析センター, 2017-10-19公開プレゼンの最後に予定されている山國氏は16年度に「哺乳類末梢・中枢神経系におけるイミダクロプリドの神経毒性に関する薬理学的研究」としてアクト・ビヨンド・トラストの助成を受けているが、その成果は、『Toxicology』に発表されている。
山國氏らは、ラットの細胞を使った実験により「イミダクロプリドが、単体で、しかも低濃度で副腎髄質細胞の遺伝子発現を増強し、アドレナリン産生を促す事実が明らかになった。さらに、この低濃度のイミダクロプリドが内在性のアセチルコリンによるアドレナリンの産生・分泌も増大することが示唆された」とし、「これまで見えなかった、内分泌系の機能撹乱に繋がるイミダクロプリドの神経毒性発現とその仕組を捉えることに成功した」としている。
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