ブラジルではこのほど、世界で初めてとなる害虫抵抗性(Bt)の遺伝子組み換えサトウキビを400ヘクタールに植えつけた、とロイターが報じた。このGMサトウキビはブラジルのカナビアリス研究所(CTC)が開発したもので、サトウキビの芯を食い荒らすサトウキビメイガ(Diatraea saccharalis)に抵抗性があるという。
サトウキビメイガによる被害は、ブラジル全体で50億レアル(約15億ドル)に達するという。ブラジル国家バイオ安全技術委員会(CTNBio)は昨年6月、この遺伝子組み換えBtサトウキビを承認していた。
昨年6月のブラジル国家バイオ安全技術委員会の承認に当たってCTCのグスタボ・レイテCEOは、新たな除草剤耐性や害虫抵抗性の新品種開発を行なうとしている。今回の商業栽培開始を報じたロイターによれば、CTCは今年、1つか2つの新品種の承認申請を行なうという。
ブラジルのサトウキビ栽培面積は約900万ヘクタールと世界最大。2位のインドのバイほどの面積で栽培され、約4千万トンの砂糖を生産している。CTCはこのGMサトウキビの栽培面積を、3年で150万ヘクタールにまで拡大する計画だという。
CTCはすでに、このGMサトウキビ由来の砂糖について、米国とカナダに承認を求めて申請したという。また、中国やインド、日本、ロシア、韓国、インドネシアに承認を求めるだろうとしている。日本への承認申請は、まだなされてないようだが、仮に日本で承認されたとしても、現行の遺伝子組み換え食品の表示制度ではGM原料の砂糖は表示は不要となっている。日本は年間120万トン余りの砂糖を輸入しているが、ブラジルからの砂糖の輸入は、550トンに留まっている(財務省・貿易統計)。
CTCは世界最大のサトウキビ開発企業で、ロイターによれば、レイテCEOはモンサントの役員経験があるという。
・Reuters, 218-3-2 ・Reuter, 2017-6-8 ・Centro de Tecnologia Canavieira (CTC), 2017-6-8【関連記事】
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