最終更新日:2018年6月1日
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2018.06.01 No.924
■ゲノム編集で大幅なイネの収量増 安全性は不明
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 米国パデュー大学と中国科学アカデミーの研究チームは、ゲノム編集を使ってイネの収量を大幅に増加させることに成功したと米国科学アカデミー紀要に発表した。CRISPR / Cas9技術より収量を25〜31%増加させたとしている。こうした大幅な収量増は従来育種では不可能だとしている。

 研究チームは、干ばつや土壌の塩分、その他の環境要因などの非生物的ストレスの耐性を高めるだけでなく、増殖を阻害する一連の遺伝子の機能を働かないようにノックアウトすることで収量増を実現したとしている。上海の野外試験で25%増、海南島での野外試験では31%増だったという。この収量増加が、研究で使った品種だけでなく、他の品種でも起こりうるのかを確認する必要があるとしている。

 ・PANS, 2018-5-21  ・Purdue University, 2018-5-21

 米国農務省は先ごろ、外来遺伝子を含まない遺伝子を操作したゲノム編集作物は規制不要との見解を明らかにしている。すでに、米国・カリクストの遺伝子をノックアウトしたゲノム編集小麦の栽培試験が始まっている。意図した部分の遺伝子だけを操作しているというものの、全領域にわたって意図せざる部分での改変が行われているかの確認は十分になされていないと指摘する研究者もいる。こうしたゲノム編集作物の安全性は十分に確認されているとはいい難い。

 日本政府は明確にはしていないものの、ゲノム編集作物について規制除外の方針で流れを作ろうとしているように見える。昨年、ゲノム編集によるジャガイモの屋外栽培試験が弘前大学で始まり、農研機構もゲノム編集による収量増加を狙ったイネの隔離圃場での試験栽培を実施している。

 ・農研機構

 米国のようにゲノム編集作物に対する規制が不要ということになれば、消費者には、自分の食べている食品がゲノム編集された作物であるかどうかを知るすべがないということでもある。これは、自分が何を食べるかという権利を蔑ろにされるということでもあり、たまったものではない。

 黎明期であるがゆえに、こうしたゲノム編集作物はニュースにもなる。しかし、いずれニュースバリューもなくなれば、消費者ばかりか農家も知らずして、ゲノム編集という名の遺伝子操作作物を作り、食べることが当然となる社会が到来することは十分に想定できる。こうした事態は、なんとしても止めるべきだ。予防原則に立ち、十二分の規制を設けるべきである。消費者の知る権利、何を食べるかという選択の権利には、最低限、ゲノム編集作物であるという表示を義務とする規制は必要だ。

 ゲノム編集以前に、トマトで始まった遺伝子組み換え作物の商業栽培やGM食品の流通は、主食である小麦やコメに及ぼうとしているが、一足飛びにゲノム編集作物での商業栽培が始まるかもしれない。その時、農家の何を作るかという権利、消費者の何を食べるかという権利が十分に尊重されなければならないのは極めて当然のことだ。

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