最終更新日:2018年6月3日
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2018.06.03 No.927
■環境省 ゲノム編集とカルタヘナ法の関係整理に着手
CRISPR-Cas9_Editing.jpg
CRISPR-Cas9 Editing of the Genome / NHGRI / Wikimedia

 環境省は5月28日、「ゲノム編集技術のうち、カルタヘナ法で規定される遺伝子組換え生物等を作出する技術に該当する技術について整理する」ことを目的として、中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会のもとにカルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会を設置して検討を始めることを明らかにした。

 自然環境部会に提出された「ゲノム編集の概念の整理について」では、10名程度の専門家による検討会において、6月から8月にかけて検討し、9月から10月に自然環境部会に報告するとしている。しかし、わずか2回程度の専門家による検討では不十分だ。公開の場で、広く農家や消費者を含む関係者の意見を聞き、コンセンサスを得ることが必要ではないか。

 ・環境省, 2018-5-28

 カルタヘナ法では、遺伝子組み換え生物を「異なる分類学上の科に属する生物の細胞から取り出された遺伝子を導入された生物」としている(「ゲノム編集の概念の整理について」)。このことから、外来遺伝子を組み込むことなく、特定の遺伝子の機能を働かないようにしたものや、同じ科生物の遺伝子を組み込んだものをカルタへナ法の対象ではないとして、規制しないことを明確にする可能性もありそうだ。

 カルタヘナ法の対象としない場合でも、そのゲノム編集作物は通常の作物として扱ってよいのかという問題は残る。米国の全米有機認証基準委員会(National Organic Standards Board)は2016年の定例会議において、ゲノム編集技術などの新育種技術による遺伝子操作由来の成分について、従来の遺伝子組み換えと同じように、有機食品としては認めないとする勧告を満場一致で決議している。その有機と認められない新育種技術として、CRISPR-Cas技術を含むゲノム編集、遺伝子サイレンシング技術、遺伝子の人工合成技術、クローン技術など6類型をあげている。

 米国を初めとして、日本でもゲノム編集作物を規制の枠外に置こうとする動きが出てきている。規制することなく生物多様性が保持でき、ゲノム編集食品の安全性が担保できるのかが懸念される。消費者の知る権利、何を食べるかという選択の権利には、少なくともゲノム編集作物を表示義務とする規制は必要だ。

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