グリーンピース・ジャパンは6月19日、斑点米は主なクレームとはなっていないという生協へのアンケート調査結果を発表した。農水省はこれまで、斑点米へのクレームがあり、玄米の着色粒規定は必要だと説明してきたが、その主張の一端が崩れることになる。農産物検査法の着色粒規定があることで、斑点米カメムシ防除のためにネオニコチノイド系農薬が過剰に使用されているといわれている。
アンケート結果についてグリーンピースは、「生産者が、ネオニコチノイド系農薬等の使用をやめにくい主な理由は、「出荷時の等級と価格が下がること」が最多で、消費者のクレームよりも、斑点米の混入上限規程の厳しいことが農家の殺虫剤散布を促進している実相が浮き彫りになった」としている。
グリーンピースによれば、回答を得た24生協(6連合会含む)のうち17生協(5連合会含む)がネオニコチノイドによる生態系への影響を懸念するも、ネオニコ不使用/削減の目標を設定している生協は6生協だったという。生協といえば「安全」重視のイメージが強いが、ネオニコ・フリーへ向けて動いている生協は、まだ少ないようだ。
玄米の検査規定には着色粒規定があり、一等米で0.1%、二等米で0.3%などの上限が決められている。斑点米は、色彩選別機を使うことで取り除くことができ、精米されてしまえばこの規定は適用されない。農水省はこの間、斑点米がクレームの原因となっていて着色粒規定は廃止できないとしてきたが、このアンケート結果からは、そうした農水省の見解が妥当性を欠いていることが、また一つはっきりしたといえる。
・グリーンピース・ジャパン, 2018-6-19根拠がない着色粒規定 「数式やデータは存在しない」と農水省
この着色粒規定の根拠について、かねてより反農薬東京グループなどの市民団体がその根拠を示すように農水省に求め、農水省は「該当する文書は見当たらない」と回答していた。グリーンピース・ジャパンが先ごろ、情報公開請求を使い、農水省に正式にその根拠となる数式やデータの開示を求めたところ、「当該最高限度を算出した数式やデータは存在しないことから不開示としました」という不開示の通知があったという。
根拠の不明確な基準で格付けする着色粒規定がオニコチノイド系農薬の過剰使用をもたらしているといえる。こうした着色粒規定は廃止すべきではないか。
・グリーンピース・ジャパン, 2018-5-25 ・農水省, 2018-4-13 ・農水省コメ産地からも着色粒規定不要の声が上がっている。秋田県大潟村議会は今年3月、「着色粒規定の廃止」などを盛り込んだ農産物検査法、植物防疫法、JAS法の抜本的見直しを求める意見書を国に提出するよう求める請願を採択している。同じ秋田県の五城目町議会でも今年6月、大潟村と同様の請願が採択され、衆参両院議長や総理大臣などにあてて意見書を提出している。
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