食品安全委員会は7月5日、シンプロット(米国)の疫病抵抗性遺伝子組み換えジャガイモ(SPS−OOOY9−7)について、10日の委員会において厚労省から説明を受けると予定を公表した。このGMジャガイモは疫病抵抗性のほか、高温での加熱処理の際に生成されるアクリルアミドの低減と収穫時の打撃によって生ずる黒斑も少なくできるというジャガイモだという。昨年12月、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は、このジャガイモY9を承認している。
シンプロットは、RNA干渉技術を使い遺伝子組み換えジャガイモを開発している。しかし、マクドナルドを初めとして多くの外食企業がその使用を拒否している。
日本では昨年7月、厚労省は、今回申請の遺伝子組み換えジャガイモの第一世代となるシンプロットのアクリルアミド低減・打撲黒斑低減遺伝子組み換えジャガイモを承認している。このGMジャガイモは、すでに米国内で流通しているという。
現行の遺伝子組み換え表示制度では、遺伝子組み換えジャガイモを原料とする6種類の加工食品に表示が義務付けられている。消費者庁では現在、表示検討会の報告書を受けて遺伝子組み換え食品の表示制度の見直しが行われているが、こうした分類の変更はない模様だ。しかし、表示義務のない飲食店でフライドポテトなどとして提供された場合、消費者には知る術がないという問題は依然として残る。実態はわからないが、昨年の厚労省の承認を受けて遺伝子組み換えジャガイモが輸入されている可能性があるかもしれない。
・消費者庁
GMジャガイモ、外食大手はロッテリア以外「使用予定なし」
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは昨年9月、すかいらーくなど国内の外食関連8社に公開質問状を送り、シンプロットの遺伝子組み換えジャガイモを使用するか質問した。各社の回答によれば、日本マクドナルドなど6社は使用予定はないとし、ココスジャパンは検討していないと回答したという。ロッテリアは「回答しない」と回答自体を拒否したという。
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンはまた、国内のポテトチップスメーカー6社にもシンプロットの遺伝子組み換えジャガイモ使用について質問し、全社が使用の予定はないと回答している。6社の回答によれば、湖池屋など3社が国内産のみを使用と回答。カルビー、山崎、ハウスの3社が輸入ジャガイモを使用してるとしている。
2017年のジャガイモ輸入量は、生ジャガイモと加工品合わせて約39万トンで、そのうち米国産は生が約4万トン、加工品が26万トンとなっている(財務省・貿易統計)。米国産が輸入ジャガイモの76%を占めている。農水省の集計では、17年の国産ジャガイモ(春植え)出荷量は196万トンとなっている。
生 | 加工品 | |
---|---|---|
米国 | 40,576 | 260,580 |
中国 | 421 | 6,814 |
ベルギー | − | 32,325 |
オランダ | − | 25,139 |
カナダ | − | 16,117 |
その他 | − | 11,710 |
合 計 | 40,997 | 352,675 |
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