米国スーパー大手のクローガーは6月25日、ミツバチなど花粉媒介動物(ポリネーター)へのリスクを考慮し、2020年までに園芸植物のネオニコチノイド系農薬を段階的に排除するとの方針を発表した。納入業者と協力して積極的に代替策を検討しているという。すでに大半がネオニコチノイド系農薬不使用だとしている。
・Kroger, 2018-6-25米国の環境NGOは連合して、小売業界に対してネオニコチノイド系などの農薬排除と有機農産物へのシフトを呼びかけるキャンペーンを行ってきた。クローガーのポリネーター保護の方針発表を受けて、その一つであるFriends of the Earth(地球の友)は6月28日声明を発表し、クローガーの新しい方針は「最初の一歩に過ぎない」とし、「ポリネーターや人や地球に対して真剣であるならば、販売する食品の有害な農薬を段階的に排除し、国産の有機製品を増やすべきだ」と指摘した。
Friends of the Earthが3月に発表した米国小売大手25社の農薬方針に関するまとめによれば、ホール・フーズを除く各社が、販売する食品から農薬を減らそうとしてはいないという。そのホール・フーズは、積極的な有機食品販売方針を持たないアマゾンに買収された。
・Friends of the Earth, 2018-6-28 ・Friends of the Earth, 2018-3-13日本のホームセンターやスーパーからは一向に聞こえてこないが、欧米のスーパーやホームセンターではネオニコチノイド系農薬を使わない動きが進んでいる。
- 15年4月、米国ホームセンター大手ロウズは4年でネオニコチノイド関連商品排除を発表
- 16年12月、米国大手のコストコは取扱いの園芸植物へのネオニコチノイド系農薬の使用を取りやめると発表
- 英国のホームセンター大手B&Qは、18年2月より販売する園芸植物でネオニコチノイド系農薬を使わないと発表
- 豪州ホームセンター大手バニングスは、18年中にネオニコ殺虫剤の販売を停止すると発表
農産物に限らず、身近にある園芸植物のようなものからのネオニコ・フリーも必要。日本のホームセンターでは春先、農薬を使用した野菜苗が普通に売られている。中には3種類のネオニコ系(ジノテフラン、クロチアニジン、ニテンピラム)を使い、延べ20回近くの農薬を使った苗もある。一方で、一時「無農薬」をキャッチフレーズにした野菜苗も登場したが、残念なことに見なくなってしまった。農薬使用歴の明示されていない苗が平然と売られていることも問題の一つだ。欧米からは大きく遅れを取っているのが実情だ。
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