最終更新日:2018年7月30日
2018年
 07年 08年 09年 10年 11年
 12年 13年 14年 15年 16年
 17年

2018年7月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031
最近の記事
2018.11.28 No.973
2018.10.23 No.972
2018.10.08 No.971
2018年7月の記事
2018.07.31 No.952
2018.07.30 No.951
2018.07.26 No.950
2018.07.25 No.949
2018.07.21 No.948
2018.07.17 No.946
2018.07.14 No.945
2018.07.13 No.944
2018.07.10 No.942
2018.07.09 No.941
2018.07.07 No.940
2018.07.05 No.939
2018.07.03 No.938
2018年6月の記事
2018.06.29 No.936
2018.06.25 No.935
2018.06.24 No.934
2018.06.22 No.933
2018.06.16 No.932
2018.06.11 No.931
2018.06.08 No.930
2018.06.07 No.929
2018.06.04 No.928
2018.06.03 No.927
2018.06.02 No.926
2018.06.01 No.924
2018年7月

2018.07.30 No.951
■欧州司法裁判所:ゲノム編集は遺伝子組み換えとの司法判断
CJE.jpg / Flickr
欧州司法裁判所(ルクセンブルク) / Transparency International EU Office / Flickr

 欧州司法裁判所は7月25日、ゲノム編集技術を使い遺伝子操作した新品種はEUのGMO規則の適用を受けるとする司法判断を下した。従来の遺伝子組み換え作物と同様の環境アセスメントとトレーサビリティ、表示が必要となるという。2016年にフランスの農民団体は、ゲノム編集などの新育種技術で作出された品種が遺伝子組み換えに該当するかについてフランス政府の判断を求め、これを受けてフランス政府が欧州司法裁判所の判断を求めていた。ゲノム編集を遺伝子組み換えとして扱うよう求めてきた農業団体や環境NGOは「勝利」だとして歓迎している。

 ・Court of Justice of the European Union, 2018-7-25  ・Euractiv, 2018-7-25  ・Reuters, 2018-7-25

 欧州司法裁判所は今年1月、裁判所としての司法判断の前に、法務官の意見所を公表した。法務官は、基本的にゲノム編集は遺伝子組み換えであるが、外来遺伝子を導入しない突然変異誘発は遺伝子組み換えではないとしていた。この意見書に環境NGOなどは、基本的には歓迎するが、外来遺伝子を導入しないタイプを除外したことは抜け道を開けたと非難していた。通常、欧州司法裁判所の決定には法務官の意見が踏襲されることから、今回の司法判断は予想外のものとなったという。

 欧州や米国では、すでにいくつかのゲノム編集作物の商業栽培が始まり、米国がノックアウトを規制しない方針を示している中での司法判断であり、EUは今後、ゲノム編集を遺伝子組み換えとして扱うことになり、日本を含めて影響がでてくるだろう。

 米国農務省は3月、リスクがない限りゲノム編集技術による新規作物を規制しないとする長官声明を発表している。日本の環境省は今月から、公式に規制枠組みの検討を始めた。環境省は、特定の遺伝子の機能をオフにするノックアウトは規制しない方針を示しており、8月7日よりゲノム編集技術等検討会が始まる。この検討会の中で、欧州司法裁判所の決定をどう評価するかが注目するところだ。

NGOは規制の確実な実施を要求

 これまでに欧州の国際有機農業運動連盟(IFOAM)やグリーンピースなどの環境NGOは、新育種技術で作出された作物を遺伝子組み換え作物として規制するよう求めてきた。2017年2月には、20団体が共同でゲノム編集などの新育種技術で作出された作物はGMOと分類すべきであるとする共同見解を発表していた。

 ・IFORMほか, 2017-2

 こうした欧州のグリーンピースや地球の友などの環境NGOや有機農業団体のIFORMは同日、この決定を「勝利」だとして歓迎する声明を出している。

 国際有機農業運動連盟(IFOAM)は25日、「よいニュースだ。有機育種家や農家、加工業者だけでなく、すべての欧州の生産者と消費者にとっても良いニュースである。そのようなGM製品を回避する自由や、新技術の潜在的リスクからの環境保護を確かなものにする」と代表のコメント発表した。そして、「EU委員会はこれ以上行動を遅らせることは出来ず、この法的枠組みが加盟国によって適切に施行されることを確実にされなければならない。委員会はトレーサビリティを補完する検出方法を開発し、新技術による作物を確実に分離し、欧州の有機やGMOフリー食品、飼料生産への汚染を防ぐよう直ちに動くべきだ」としている。

 ・IFOAM EU, 2018-7-25

 グリーンピースは25日、「ゲノム編集が意図しない副作用を引き起こす可能性があることを考えると、適切な安全対策を講じないで新しいGMOを環境に放出することは不法であり無責任である。EU委員会と加盟国政府は、新たなGMOすべてがテストされ、表示され、EUのGMO規則に基づいて屋外試験が行われるようにする必要がある」と食品政策担当のコメント発表した。グリーンピースは、北米で栽培されているゲノム編集の除草剤耐性ナタネについて、欧州委員会に対し、EUのGMO要件を満たさない限りEUへの輸入や栽培を認めないように求めているという。

 ・Greenpeace Europe, 2018-7-25

 企業のロビー活動を監視している欧州企業監視所(Corporate Europe Observatory)は25日、欧州司法裁判所の決定は「消費者、農家、環境に対する勝利」とする声明を発表し、「これらの新しい技術の製品が潜在的な食品の安全性と環境リスクについて評価され、GMOとして適切に表示されていることを保証しなければならない」としている。また、「アグリビジネスは、EUの安全規則を逃れようとロビー活動を継続するだろう。司会、今日の決定は確かなものだ」ともしている。

 ・Corporate Europe Observatory, 2018-7-25

 欧州司法裁判所の決定を受けて、英国ジーン・ウォッチは25日、今年5月から始められた英国ロザムステッド研究所による、ゲノム編集を使って開発したオメガ3脂肪酸産生アマナズナの屋外試験の即時停止を求める声明を発表した。ジーン・ウォッチは、欧州司法裁判所の決定に従えば、このゲノム編集アマナズナの環境アセスメントが不十分であると指摘している。

 ・GeneWatch UK, 2018-7-25  ・Rothamsted Research, 2018-5-18

 この決定は、バイオ企業には衝撃だったという。業界団体ユーロバイオ(EuropaBio)のブレナン事務局長は「ゲノム編集の用途の大きなメリットをヨーロッパが逃す可能性がある」と、業界の懸念を述べている。

 ・EuropaBio, 2018-7-25
【関連記事】
カテゴリー
よく読まれている記事