ブラジル連邦裁判所は8月6日、グリホサートを含む製品について、連邦政府がその毒性再評価を完了するまで、使用を禁止するとの決定を下したとロイターが報じた。30日以内に登録が停止されるという。
この決定についてモンサントは、「ブラジルの農家が40年以上にわたりグリホサートに依存しており、世界中のレビューが除草剤が安全に使用できると結論付けている。モンサントは、農薬を安全に使用するために、ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)の手順を遵守する」と述べたという。
ブラジルは米国に次ぐ大豆生産大国であり、2016年には約1億トンを生産しているが、その9割が遺伝子組み換え大豆で、多くが除草剤耐性品種だという。ロイターによれば、農業団体幹部は、「裁判官の間違いであり、決定が取り消されると思う。これらの農薬がなくては農業はやれない」とコメントしたという。
決定ではまた、殺虫剤のアバメクチンと殺菌剤のチウラムについても、同様に使用が一時禁止されたとしている。この決定に関する裁判の詳細は明らかではない。
・Reuters, 2018-8-6国際がん研究機関(IARC)は2015年、グリホサートは「おそらく発がん性がある」と評価した。EUでは一昨年からグリホサートの禁止を求める市民発議に140万人が署名するなど、グリホサート禁止の動きが強くなってきている。昨年12月、EUはグリホサートの農薬登録を延長した。しかし、登録延長に反対したフランスなどEU加盟6か国の農業・環境大臣は連名で、EU委員会に宛ててグリホサートの段階的禁止計画の策定を要請する書簡を送っている。フランスは昨年、2022年までにグリホサートを禁止する方針を明らかにしている。今年2月、ドイツのキリスト教民主・社会同盟と社会民主党の連立協定はグリホサートの禁止で合意している。
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