フランスは9月1日より、世界で初めて5種類のネオニコチノイド系農薬を禁止する。16年に成立した生物多様性法に基くもので、EUが12月より屋外での使用を禁止するイミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムに加え、チアクロプリドとアセタミプリドの使用も禁止される。昨年9月には、同じ浸透移行性のフィプロニルのEUで登録が失効し使えなくなっている。
グリーンピース・ジャパンは8月31日、フランスの全面禁止を前に声明を発表し、日本政府に対して直ちにネオニコチノイド系農薬の使用を禁止するよう求めるとともに、使用している現場サイドに対しても自主的に使用を中止するよう呼びかけた。
・Telegraph, 2018-8-31 ・グリーンピース, 2018-8-31日本では、約500種類のネオニコチノイド系農薬が農薬登録され、その半数以上がイネの害虫防除用だという。2017年には21種類が新規に登録され、今年は2種類が登録されている。そして、食品の残留農薬基準値も毎年のように緩和され、世界的にみても緩くなっているのが実情だ。
日本政府はこの間、国会での審議や質問主意書に対する答弁書のなかで、EUの禁止する3種類のネオニコチノイド系農薬(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)と、日本で出荷量トップのジノテフランについて、優先的に再評価すると述べている。しかし、その再評価は3年後の21年度だという。農水省はまた、日本におけるネオニコチノイド系農薬の使い方が、主に種子処理剤として使われる欧米と異なるとして規制に後ろ向きの姿勢を隠してこなかった。こうしたことを見るに、3年後の再評価の結果、規制がそのままの可能性が大きい。
こうした欧米との違いについて、ある研究者は「欧米ではハチに影響がでるだけで農薬が規制される。しかし、日本では人に影響がでても規制されない」と喝破した。そうでは困る。ネオニコチノイド系農薬が子どもの発達障害の原因ではないかという指摘もでていると聞く。予防原則に則り、直ちに使用禁止すべきだろう。
【関連記事】- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増