

日本は77万トンの米と530万トンの小麦を輸入しているが、農水省は輸入米麦の残留農薬の検査し、そのうち食品衛生法に基づく残留農薬基準を超過していないが定量限界以上の濃度が検出された農薬について公表している。この公表データから、残留する除草剤グリホサートとネオニコチノイド系殺虫剤に着目してみた。
公表されたデータでは、2008年度から2017年度(前期分)の輸入米における残留農薬のグリホサートとネオニコチノイド系は、定量限界以上が検出されたケースは少ない。
ネオニコ系は、チアメトキサム(2017年、インド産)とアセタミプリド(2013年と2017年のパキスタン産)が検出されている。いずれも基準値超えはなかったとしている。
グリホサートは、2016年(後期)と2017年度(前期)に米国産から検出されている。2017年度(前期)のグリホサートでは、221点検査して、206点が定量限界0.03mg/Kg未満であり、15件が定量限界以上、残留基準値0.1mg/Kg未満だったとしている。米国以外の輸入国(イタリア、インド、オーストラリア、タイ、中国、パキスタン、ベトナム)からは検出されていないとしている。

輸入小麦について2013年度から2017年度について、グリホサートの検出状況を見てみると、毎年のように検出されているが、輸入先によって大きな違いが出ている。小麦は、そのほとんどを米国、カナダ、オーストラリア、から輸入しているが、フランスを加えた4カ国の検査結果が公表されている。いずれも基準値超えはなかったとしている。
グリホサートの検出率は輸出国によって大きく異なり、カナダ産はほぼ100%、米国産は約95%とほとんどから検出されている。一方、オーストラリア産とフランス産では10%強からの検出となっている。カナダ産と米国産が多いのは、収穫直前に強制的に枯らして乾燥させるための除草剤散布(プレハーベスト)にグリホサートが使用されていることが原因と思われる。このような乾燥目的の収穫直前のプレハーベストは日本では認められていない。

欧州消費者のグリホサート反対の高まりを背景に、イタリアのパスタメーカーのバリラは今年4月、小麦の残留グリホサートを懸念してカナダ産小麦の使用を減らすと発表している。
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