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日消連がDVD『香害110番』を制作

化学物質過敏症という言葉とともに、ここ数年でよく聞くようになった言葉に「香害(こうがい)」がある。人工的な化学物質で作られた香り、洗剤などの加えられた香料による健康被害である。2017年3月、岡田幹治さんの『香害』(金曜日刊)で一気に広まった言葉だ。日本消費者連盟が昨年、電話相談「香害110番」を行ったところ、2日間で213件の電話、メール、ファックスがあり、電話をかけたがつながらなくて諦めたという被害者も多かったという。日本消費者連盟は、この香害の問題を広く知ってほしいと、被害者の声や、医師や専門家、地方議会議員に取材したDVD『香害110番』の制作を始めている。来年3月の完成を目指し、クラウドファンディングで制作費の支援を募っている。
芳香柔軟剤や消臭剤に含まれる香り成分=化学物質に曝され、仕事にも行けず、学校も不登校にならざるを得ないほど体調が悪くなる人が増えているという。その数は100万人とも、日本人の7%ともいわれる。被害者は、隣家の洗濯物、職場の同僚の衣類、学校給食の割烹着、コインランドリーの排気などで発症しているという。化学物質過敏症専門外来の医師は、2008年に洗剤メーカーのP&Gが香り付きの柔軟剤ダウニーを発売して以来、各社が香り付きの製品を発売し、被害が広がったようだという。被害者にとって「柔軟剤」は「受難剤」と化しているのが状況だ。ひどい被害の実態は、岡田幹治さんの『香害』(金曜日刊)や『香害110番』(日本消費者連盟刊)に詳しく述べられている。
今年5月、日本消費者連盟やダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、反農薬東京グループなど8つの市民団体が開いた、香害被害への対策を求める院内集会では、出席した消費者庁など関係4省庁は「病態がはっきりしない」「香害の定義がない」などとして規制はおろか実態調査すら行おうとはしていない。柔軟剤などに含まれる香料成分に関する国の表示規制はないのが現状だ。メーカーは、香料成分は企業の競争的な秘密であるとして表示していないし、面会すら拒否しているという。少なくとも香料成分を表示して消費者が選択できるようにするべきだとして、日本消費者連盟など6団体は12月11日、主要な洗剤メーカーの花王、ライオン、P&Gの3社に対して香料成分の情報開示を求める要望書を送った。
・日本消費者連盟, 2018-12-11子どもの未来を考える市民の会(北海道)は、柔軟剤や洗剤、消臭剤に含まれる香料の成分表示を国に求める署名を10月から始めた。これには、わずか2か月で目標の3倍、3万筆を越える署名が全国から集まった。この署名を手渡した意見交換会(衆議院第一議員会館)でも、関係4省庁は、依然、後ろ向きの姿勢を崩そうとはしていない。

こうした被害者の置かれたひどい状況や国の対応は、テレビ金沢や北海道放送といった一部の地方局が取り上げているぐらいだ。香害の存在は少しずつ知られるようにはなりました。でも、まだまだ不十分だという。「香害の問題を広く皆さんに知っていただきたい」と日本消費者連盟共同代表の大野和興さんは語っている。そして「香害をなくす運動に役立てほしい」と、DVD『香害110番』は、学習会などで自由に上映できるように上映権付で販売を予定している。
日本消費者連盟の香害担当の杉浦陽子さんは「電話相談の香害110番のころと比べると、この1年で香害に対する理解が広がってきたと感じている。このDVDで、香害をなくすヒントをつかんでほしい」という。
日本消費者連盟では、このDVDの制作費の支援を募っている。12月18日から目標50万円でクラウドファンディングを始めた。締切りは2月27日。3千円以上の支援には、作品のエンドロールに名前を掲載するとともに、制作したDVDが1枚贈られる。
■クラウドファンディング〒169-0051 東京都新宿区西早稲田 1-9-19-207
TEL :03-5155-4765 FAX:03-5155-4767
mail:sugiura@nishoren.org
HP :http://www.nishoren.net/
岡田幹治著
2017年3月 金曜日 1,400円+税
2018年3月 日本消費者連盟 500円(送料別)
ケイト・グレンヴィル著 鶴田由紀訳
2018年9月 緑風出版 2,200円+税
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