環境省と文科省は3月29日、農研機構が申請した2系統4種類の遺伝子組み換え(GM)イネの隔離圃場での試験栽培について、カルタヘナ法に基づく意見公募(パブリックコメント)を始めた。どちらの遺伝子組み換えイネも動物の遺伝子を組み込んでいる。いずれも2023年3月まで、つくば市内の農研機構の隔離圃場で屋外試験栽培を行う予定としている。農研機構は今年、このほかにも3種類の遺伝子組み換えイネの隔離圃場での試験栽培計画を公表している。
カナダ保健省は3月16日、国際稲研究所(IRRI)による遺伝子組み換えゴールデンライス(GR2E)を承認したと発表した。カナダ保健省の承認は、昨年12月のオーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)に続くもので、単なる先進国の「お墨付き」を与えるだけの承認である。フィリピンの農民団体マシパグは、多様で安全なビタミンAを含む食料を容易に入手できるようにすることが解決策だと批判している。
EU委員会は3月21日、バイエルによるモンサント買収について一部事業の売却などの条件を付けて承認すると発表した。13日には中国が、野菜種子事業の売却を条件に承認していた。欧州では多くの農民や市民がこの買収に反対している。前日の20日には欧州のNGOが連名で買収を承認しないように求める公開書簡を競争政策担当ヴェステア委員に送っていた。欧州議会内会派の欧州緑グループ・欧州自由連盟や、買収に反対してきたNGOが失望と非難の声明を出している。多くの農民や市民の反対にもかかわらず、「バイサント」が現実味を帯びてきた。
EU委員会は2013年12月以来、一時的に使用禁止にしてきたイミダクロプリドなど3種類のネオニコチノイド系農薬について、屋外での使用の禁止を提案していた。2月末に欧州食品安全機関(EFSA)による再評価の結果が公表され、野生のマルハナバチなどを含め、ミツバチなどのポリネーターへの悪影響が避けられないことがはっきりした。しかしEU委員会は、この22日、23日に開かれる植物・動物・食品・飼料常設委員会(SCOPAFF)では、禁止を加盟国の投票に付す予定がないという。
ネオニコチノイド農薬に関連した市民活動や研究者への助成を行っているアクト・ビヨンド・トラストは3月18日、18年度の助成に向けた公開プレゼンテーションを行った。一時審査を通過した6件の申請者が、その目的や得られる成果について説明した。このうち3件がヒトへの影響に関する調査・研究だった。ほかに、ミツバチのネオニコチノイド汚染ルート解明の研究、消費者の意識に迫る研究、国産鶏卵のフィプロニル汚染の実態調査の合計6件。18年度の助成は調査・研究に限定されたが、生態系に対する影響の調査・研究から、ヒトへの影響解明へテーマが移ってきているように思われる。
大潟村議会は3月16日、農産物検査法と植物防疫法、JAS法の抜本的見直しを求める意見書を国に提出するよう求める請願を採択し、3項目の意見書を提出することになった。この請願では、国への意見書に農産物検査法の「着色粒規定の廃止」などを盛り込むように求めている。着色粒規定は、斑点米カメムシ類防除を目的とするネオニコ系農薬の過剰使用の元凶といわれている。
北海道は3月15日、道内における18年度の屋外での遺伝子組み換え作物栽培の計画はないと、道のホームページで公表した。北海道は2005年、遺伝子組み換え作物栽培規制条例を制定し、商業栽培を許可制とし、研究機関での試験栽培を届出制としている。「北海道農業者の会」は2015年、大豆やトウモロコシなどの除草剤耐性遺伝子組み換え作物の試験栽培を求め、北海道立総合研究機構(道総研)に要請署名を提出していた。
ロンドン大学の研究者らは、市販の農薬に含まれる界面活性剤などの補助剤が主剤の活性成分よりも毒性が高いにもかかわらず、安全性評価の対象となっていないことは、実際に使われる農薬の安全性評価を誤ることになり、補助剤の毒性から環境やヒトの健康を守る新たな規制が必要だとする研究結果を発表した。補助剤の毒性無視は市販農薬の安全性を偽ることになると指摘している。
モンサントは3月8日、ブラジル政府がモンサントの除草剤グリホサート(ラウンドアップ主成分)とジカンバ(米国の一部で使用禁止)に耐性のある次世代遺伝子組み換え(GM)大豆Intacta2 Xtendを承認と、ロイターが報じた。2020年より供給するという。
昨年10月、沖縄県東村高江の牧草地に米海兵隊の大型ヘリコプターCH53が墜落炎上した。沖縄防衛局は3月9日、この墜落現場の牧草地の環境調査の結果、放射性ストロンチウム90と発がん性物質ベンゼンが検出されたを発表した。CH53の回転翼は中空で、亀裂検知用の飛行時回転翼監視装置にはストロンチウム90が使われている。
米国では有機食品への需要が高くなっているが、米国食品大手のゼネラル・ミルズは3月6日、サウスダコタ州で約1万4千ヘクタールの慣行農地を有機転換し、生産した有機小麦などの有機農産物をゼネラル・ミルズの自社製品で使用するという戦略的調達協定をガンスモーク農場と結んだと発表した。背景には、年々約10%成長を続けている米国の有機食品への需要がある。2016年には430億ドル(約4兆7千億円)にまで成長しているという。
ブラジルではこのほど、世界で初めてとなる害虫抵抗性(Bt)の遺伝子組み換えサトウキビを400ヘクタールに植えつけた、とロイターが報じた。このGMサトウキビはブラジルのカナビアリス研究所(CTC)が開発したもので、サトウキビの芯を食い荒らすサトウキビメイガ(Diatraea saccharalis)に抵抗性があるという。
欧州では、EU委員会が2030年までに廃棄プラスチックのゼロ戦略を発表したり、英国スーパー・アイスランド社が2023年までにプラスチック・フリーを宣言したりと、ゴミとなり環境を汚染するプラスチック包装の削減に大きく踏み出している。こうした将来的なゼロ宣言から一歩踏み出し、世界初のプラスチック・フリーのスーパーが、このほどオランダでオープンした。
アクト・ビヨンド・トラストによる18年度の「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募助成の公開プレゼンが3月18日に開かれる。18年度の公募は「調査・研究」に限定され、一次審査を通過した6件のプレゼンテーションが行なわれる。
ウガンダ議会は昨年10月、国家バイオテクノロジー・バイオセフィティ法案を可決したが、ムセベニ大統領は署名を拒否し議会へ差し戻した。大統領は、「特許の独占権を開発者に与える一方で、元となる品種を作り出したコミュニティを忘れていることは間違っている」「安全を考慮し、GMO種子はウガンダの在来種と無作為に交雑させるべきではない」と述べていると地元紙が報じている。土俵際で遺伝子組み換え作物の商業栽培へ待ったをかけた、ムセベニ大統領の言葉は重い。
農水省と環境省は3月1日、カルタヘナ法にもとづきトウモロコシやトマトなどの遺伝子組み換え作物5品種について意見公募を始めた。規制なしの栽培承認の対象は日本モンサントの除草剤耐性GM大豆、リマグレン(フランス)とシンジェンタの除草剤耐性GMトウモロコシの計3品種。隔離圃場での試験栽培は、ミラクリン産生GMトマトと青紫色ファレノプシス(コチョウラン)の2品種。締切りは3月30日。
切り口が変色しない遺伝子組み換え非褐変リンゴの開発元のオカナガン社は、昨年秋の米国での試験販売が好調だったとして、積極的な拡大を計画していると、カナダのCBCが報じた。
欧州食品安全機関(EFSA)は2月28日、2013年12月以来、一時使用禁止措置がとられているイミダクロプリドとクロチアニジン、チアメトキサムの3種類のネオニコチノイド系農薬について、受粉を媒介するハチ類に高いリスクがあるとする再評価結果を発表した。英国が使用禁止への賛成を明らかにしているが、ガーディアンは(電子版)は屋外での使用禁止は十分にありうると報じている。
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