厚労省は6月28日、タイ産のパパイヤサラダから未承認の遺伝子組み換えパパイヤ(PRSV-SC)を自主検査で検出し、廃棄・積み戻し等を指示したと公表した。輸入食品から未承認の遺伝子組み換え成分が見つかったのは昨年8月以来で、今年初めてになる。
グリーンピース・ジャパンは6月19日、斑点米は主なクレームとはなっていないという生協へのアンケート調査結果を発表した。農水省はこれまで、斑点米へのクレームがあり、玄米の着色粒規定は必要だと説明してきたが、その主張の一端が崩れることになる。農産物検査法の着色粒規定があることで、斑点米カメムシ防除のためにネオニコチノイド系農薬が過剰に使用されているといわれている。
英国・エディンバラ大学ロスリン研究所などの研究チームは6月20日、ゲノム編集技術を使い豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS: porcine reproductive and respiratory syndrome)ウイルスに耐性のある豚を作出したとジャーナル・オブ・バイロロジー(電子版)に発表した。ロスリン研究所は、この遺伝子操作が豚の健康に何らかの影響を与えているという兆候は見られないとしている。ロスリン研究所は商業飼育に慎重な姿勢だが、英国のコーブ環境相は今年1月、EU離脱後に遺伝子組み換え動物が販売される可能性に言及している。ゲノム編集の豚肉が食卓に上る可能性がでてきた。
昨年夏、欧州でエッグ・スキャンダルとして大きな問題となった鶏卵のフィプロニル汚染が再燃した。オランダからドイツに輸出された7万個余りの鶏卵から、EUの残留基準値0.005ppmを超える0.007ppmから0.019ppmのフィプロニルが検出され、ドイツ・ニーダーザクセン州政府が回収しているという。生産したのはオランダの有機の養鶏場と報じられている。
カナダでモンサントの除草剤ラウンドアップ耐性遺伝子組み換え小麦(MON71200)の自生が見つかった問題で、日本政府は6月15日、カナダ産小麦の輸入を一時停止した。ロイターなどによれば、韓国も輸入を一時停止している。
カナダ食品食品検査庁(CFIA)は6月14日、カナダ・アルバータ州の道路わきでモンサントの除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)小麦(MON71200)が見つかったと発表した。この遺伝子組み換え小麦は未承認品種で、今年1月に見つかり、4月8日にモンサントのGM小麦と同定したとしている。しかし、自生の原因は不明だとしている。日経などによれば、この発表を受けて農水省は15日、安全が確認されるまでカナダ産小麦の輸入と在庫分の売り渡しを一時停止したという。これまでにも米国で3回、モンサントの試験栽培のGM小麦の自生が見つかったが、当局はいずれのその原因を特定できていない。
農水省は6月8日、カルタヘナ法にもとづき、新たにモンサントなどの遺伝子組み換えのダイズとトウモロコシ3品種について栽培などを承認した。併せて、ミラクリン産生遺伝子組み換えトマトと遺伝子組み換え青紫色コチョウランの隔離圃場での試験栽培を承認した。
5月9日開催の厚労省の残留農薬基準値を審議する農薬・動物用医薬品部会で、除草剤2,4−Dの残留基準値の緩和案が審議された。公表された改定案によれば、一部で厳しくなる食品もあるが、小麦、大麦、じゃがいも、レモンなどが緩和される。そのほとんどが米国基準や国際基準に横並びにとなっているが、国際基準より米国基準がより緩い場合は米国基準に合わせている。この案で改訂が行われると思われる。
市民発議を国民投票に付すことができるスイスでは、農薬補助金のカットや合成農薬の全面禁止を求める2つの市民発議が必要な署名を集め、2年以内に国民投票にかけられる見通しだという。この2つの市民発議が国民投票で過半数の賛成を集めるのか、あるいは敗退するのか、その見通しは報じられていないが、農薬大手の一角シンジェンタの本拠のスイスでのこの市民発議の結果は注目だ。
モンサント買収に関し関係各国の規制当局の審査を受けていたバイエルは6月4日、必要な規制当局の承認が得られ、7日までに買収を完了させると発表した。バイエルはまた、買収したモンサントの製品名称は使うが、今後、モンサントの名称を使うことはないとも明言している。モンサントは1901年に創業したが、117年でその名を閉じる。
環境省は5月28日、「ゲノム編集技術のうち、カルタヘナ法で規定される遺伝子組換え生物等を作出する技術に該当する技術について整理する」ことを目的として、中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会のもとにカルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会を設置して検討を始めることを明らかにした。
農研機構は5月28日、ゲノム編集技術を使って収量増を狙ったシンク能改変イネの田植えを実施すると発表した。農研機構によれば、5月25日に隔離圃場での屋外栽培に必要な第1種使用定の承認を受けたとしている。農研機構は昨年もシンク能改変イネの隔離圃場での試験栽培を実施しているが、今年度のものとは系統名が異なっている。
2003年より州全体で有機農業への転換を進めてきたインド・シッキム州は4月1日、原則的に非有機農産物の州外からの輸入を禁止した。州政府はこの輸入禁止措置について、化学農薬や肥料の使用によって悪化している人びとの健康的な生活の確保と環境保護が目的だとしていたという。
農水省は6月1日付で、シンジェンタの除草剤耐性などの遺伝子組み換えトウモロコシ2品種を飼料として承認し官報に掲載した。これにより承認済みのGM飼料用トウモロコシは29品種、大豆などを含むGM飼料としては90品種となる。どちらも食品安全委員会が「当該飼料を摂取した家畜に由来する畜産物について安全上の問題はない」とする健康影響評価を決めている。
米国パデュー大学と中国科学アカデミーの研究チームは、ゲノム編集を使ってイネの収量を大幅に増加させることに成功したと米国科学アカデミー紀要に発表した。CRISPR / Cas9技術より収量を25〜31%増加させたとしている。こうした大幅な収量増は従来育種では不可能だとしている。
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