ロンドン大学の研究グループは8月15日、新しいネオニコチノイド系のスルホキサフロルがマルハナバチの繁殖に有害とする研究結果をネーチャー誌に発表した。この結果に研究グループは、マルハナバチや他の野生ミツバチに対する新しい殺虫剤の亜致死的影響をリスク評価プロセスに組み込む必要性があると指摘している。マルハナバチなど野生のハチは、作物の受粉の多くをになっている。農薬を使うことで、受粉の担い手を失っては農業そのものが成り立たなくなる。しかし、ネオニコチノイド系農薬の規制が進みつつある中、スルホキサフロルは、ネオニコチノイド系農薬に代わると「期待され」ているという。
ドイツの化学メーカーBASFは8月16日、モンサント買収に関してバイエルが売却する事業のうち残っていた野菜種子事業の買収を完了したと発表した。バイエルも同日、BASFに対する野菜種子事業の売却が完了したことで、モンサント統合を開始すると発表した。バイエルは即日、米国セントルイスにあるモンサントの看板をバイエル・クロップサイエンスにかけ替えているという。この買収は「社名ロンダリング」とでもいうべきで、モンサントの悪名は表からは消える。
北海道大学などの研究チームは、市販の日本産の緑茶の茶葉とボトル茶飲料の全てからネオニコチノイド系農薬を検出したと専門誌に発表した。一方、スリランカ産の茶葉からは全く検出されず、国内でネオニコチノイド系農薬が多く使われている可能性があると指摘している。研究チームは、推定摂取量は一日摂取許容量(ADI)より低いが、代謝物質の毒性はまだよく分かっていないという。有機栽培や無農薬の茶葉を選んだり、ペットボトルの茶を過度に飲まない方が無難なようだ。
カナダ保健省は8月15日、ネオニコチノイド系農薬のクロチアニジンとチアメトキサムについて、ハチではなく水生昆虫などへのリスクを考慮し3年から5年をかけて屋外使用を禁止する方針を示し意見公募を始めた。カナダ保健省は2016年11月から、これら2種類のネオニコ系農薬のリスク評価を行ってきた。また、同じネオニコ系のイミダクロプリドについて2019年からの段階的禁止方針を明らかにしていた。これら3種類のネオニコ系農薬は、EUが屋外使用の禁止を決めており、カナダ保健省の決定はEUに続くもの。
ニュージーランドのホームセンター大手の一つマイターテン(Mitre 10)は、11月からネオニコ製品の販売を段階的にやめると発表した。環境問題に取り組むという同社のコミットメントに沿って決定を下したという。ニュージーランドでも展開している豪州大手のバニングスは今年1月、18年中にネオニコ製品の販売を中止すると発表しており、ニュージーランドの大手ホームセンターがそろってネオニコ製品の取扱いをやめることになる。
環境省はゲノム編集作物の扱いについて「カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会」による検討を始めたが、外来遺伝子を組み込まず、目的とする遺伝子の機能を働かないようにするノックアウトで作出したゲノム編集作物に対する規制を外そうとしている。この環境省の方針に対して日本消費者連盟など3団体は8月10日、ゲノム編集作物を遺伝子組み換え作物と統合して規制するよう求める意見書を環境大臣や農水大臣、厚労大臣、消費者庁長官などへ提出した。3団体は、同様の意見書を「カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会」の座長と委員にも提出した。
学校構内で除草剤ラウンドアップを使ったことで悪性リンパ腫を発症したとして、米国カリフォルニア州のドウェイン・ジョンソンさんが損害賠償を求めていた裁判でサンフランシスコ地裁は8月10日、懲罰的損害賠償を含め約3億ドルの賠償金を支払うようモンサントに命ずる判決を下した。モンサントは、判決を不服として上訴する方針だという。
ブラジルのカナビアリス研究所(CTC)はこのほど、米国食品医薬品局(FDA)が同社の害虫抵抗性(Bt)遺伝子組み換えサトウキビについて安全との結論を出したと発表した。
ブラジル連邦裁判所は8月6日、グリホサートを含む製品について、連邦政府がその毒性再評価を完了するまで、使用を禁止するとの決定を下したとロイターが報じた。30日以内に登録が停止されるという。
農業情報研究所によれば、フランス政府は8月1日、9月1日より5種類のネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリド)の禁止を定めた政令を公布した。
BASF(ドイツ)は8月1日、バイエルが売却する種子や農薬事業について、総額79億ユーロで買収を完了したと発表した。これにより新たに種子、非選択性除草剤、殺線虫剤の種子処理分野に参入するとしている。バイエルは、総額1兆円規模の事業売却を条件に規制当局からモンサント買収の承認を得ていた。
米国ハワイ大学の研究チームはこのほど、ペットボトルの原料であるPET(ポリエチレンテレフタレート)やレジ袋の原料でもあるポりエチレンが環境中で劣化し、温室効果ガスのメタンやエチレンを放出するという「予期しない結果」を得たと、米科学誌プロスワンに発表した。
政府は7月27日付の答弁書で、21年度以降に行うとしている農薬再評価に当たり、ネオニコチノイド系では国内使用量の最も多いジノテフランも優先して再評価すると回答した。川田龍平議員(立憲)が質問主意書(「改正農薬取締法の運用に関する質問主意書」)で、ジノテフランの優先再評価を質問していた。
米国はオバマ政権時代にミツバチなど花粉媒介動物(ポリネーター)の保護に踏み出していた。米国魚類野生生物局(FWS)は2014年7月、野生保護区でのネオニコチノイド系農薬の使用と遺伝子組み換え作物の栽培を禁止した。しかし、トランプ政権は8月3日、この野生保護区内で許可された農業における、これらの禁止解除を決定したとロイターなどが伝えた。トランプ政権の後ろ向きな環境政策に新たな後退が加わった。
サセックス大学の研究チームはこのほど、2013年のEUのネオニコチノイド系3農薬の禁止にもかかわらず、依然として都市郊外のハチはネオニコチノイド系農薬の影響を受け、目的としたハチの保護に失敗しているとするの研究結果をEnvironmental Science Technologyに発表した。
韓国政府は使い捨てポリ袋の使用抑制について、スーパーのレジ袋を今年の年末から全面禁止する方針と韓国聯合ニュース(電子版)が8月1日伝えた。韓国では現在有料となっている大規模店舗やスーパーのレジ袋が、これにより全面禁止となるという。
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