最終更新日:2019年5月9日
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2019.05.09 No.978
■ネオニコ系は減少傾向 グリホサートは4%の増加 17年度出荷量
Roundup_jp.jpg
ホームセンターでも売られるラウンドアップ

 国立環境研究所は4月15日、農薬要覧を元にした2017年度の農薬の国内出荷量のデータを更新した。この公開データからネオニコチノイド系などの浸透性農薬と、欧米で禁止の動きのあるグリホサートについてチェックしてみた。浸透性農薬は減少傾向が続いている一方、グリホサートの出荷量は増え続けている。

減少傾向が続く浸透性農薬出荷量

 ネオニコチノイド系とフィプロニルなどの浸透性農薬は2014年度ピークに減少傾向が続いており、前年度比1.2%減の約467トンであった。ネオニコ系は前年度比99%の微減だが、アセタミプリドが前年度比88.1%と急減している。

[表1]2017年度 浸透性農薬国内出荷量
原体名出荷量
[トンまたはKL]
構成比前年比
増減
ジノテフラン156.833.6%100.0%
クロチアニジン75.916.3%97.0%
イミダクロプリド64.313.8%105.0%
アセタミプリド50.310.8%88.1%
チアメトキサム48.410.4%101.0%
チアクロプリド14.43.1%105.1%
フルピラジフロン00
スルホキサフロル00
小 計416.399.0%
フィプロニル15.43.3%87.6%
エチプロール35.17.5%102.9%
小 計50.597.7%
累 計466.898.8%
出典:国立環境研究所 化学物質データベース

 ネオニコチノイド系農薬の規制強化の動きは止まっていない。フランスが昨年9月、ネオニコ系農薬5種類について全面禁止したの続き、EUが昨年12月にイミダクロプリドなど3種類について屋外使用を禁止した。今年4月にはカナダが、やはりイミダクロプリドなど3種類について、EUのような屋外使用禁止ではないものの2021年からの規制強化の方針を発表している。

 イミダクロプリドなど従来のネオニコチノイド系農薬に対して、ミツバチなどへの有害性が少ない「安全」だとする、新タイプのフルピラジフロンやスルホキサフロルについてもその有害性が明らかになりつつある。日本ではそれぞれ2015年と17年に農薬登録されているが、まだ出荷量はほとんどない。

増え続けるグリホサート出荷量

 2010年度から毎年のように増加しているグリホサートは、前年度比4.2%増の約5670トンだったとしている。

[表2]2017年度 グリホサート国内出荷量
原体名出荷量
[トンまたはKL]
構成比前年比
増減
グリホサート
アンモニウム塩
14.10.2%95.5%
グリホサート
イソプロピルアミン塩
2402.142.4%103.8%
グリホサート
カリウム塩
3248.457.3%104.6%
グリホサート
ナトリウム塩
2.70.0%47.7%
累 計5667.3104.2%
出典:国立環境研究所 化学物質データベース

 日本での増加の動きとは逆に、欧米を中心にしてグリホサート禁止の動きが続いている。EUでは2017年、グリホサートの禁止を求める法的拘束力のある市民発議に100万人以上の署名が集ったように、市民のグリホサートによる健康懸念は大きい。EUは17年11月、グリホサートについて5年の登録延長を決めたが、加盟国のうち、チェコは19年からの使用を禁止と報じられている。日本では出荷量がうなぎ上りに増加しているが、ドイツの2016年の販売量は2010年の76%と減少したという。

 米国ではラウンドアップ(グリホサート)を使ったことにより健康被害を受けたとして損害賠償をも求める訴訟が1万3千件に上っているという。昨年に続き今年3月、ラウンドアップを使ったことでリンパ腫を発症したとして8千万ドルの損害賠償が認められた。この判決を契機にベトナムやマラウィは、グリホサート製剤の輸入禁止や使用禁止を決めたと報じられている。

 欧米では、非農業用のグリホサート剤についても販売中止の動きが続いている。先ごろ米国の最大手コストコが取扱いを中止したように、大手ホームセンターでのグリホサート剤の取扱い中止の動きが続いている。


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