

米国環境保護庁は5月20日、食品安全センター(Center for Food Safety)などとの訴訟の和解に基づき、バイエルとシンジェンタ、バレント・バイオサイエンス(米国の農薬メーカー)の12種類のチアメトキサムとクロチアニジンの登録を取消した。一部とはいえ、ネオニコチノイド系農薬の登録取消を勝ち取ったことは米国の市民運動、環境保護運動の成果だ。
この正式な登録取消を受けて、一方の当事者の一つである食品安全センター(Center for Food Safety)は「裁判による成功」との声明を発表した。声明では同センターの法務責任者であり、この訴訟の主任弁護士でもあるジョージ・キンブレルさんの「このネオニコチノイド系農薬の取消は正しい方向への闘いと画期的な一歩です。しかし、毒物との闘いは続いています。私たちは、この地球と蜂と環境を、これらの、あるいは同様の危険な毒素から守るために注意深くに闘い続けます」と談話を掲載した。この訴訟の原告でもあるシエラクラブの担当者であるニール・カーマンさんは「これらの製品を市場か締め出すことが絶対に必要です」と述べている。
この和解による登録取消を勝ち取った裁判は、2013年3月に米国の4人の養蜂家と食品安全センター(CFS)、農薬行動ネットワーク・北米(PAN)、シエラクラブなど提訴したもので、21種類のクロチアニジンと38種類のチアメトキサムの登録取消を求めて連邦地裁に提訴した。
米国連邦地裁は2017年5月8日、米国環境保護庁がネオニコチノイド系農薬の登録手続きが絶滅危惧種保護法に違反していたとして、21種類のクロチアニジンと38種類のチアメトキサムの承認について原告の訴えを認めた。その上で、まず原告と被告の環境保護庁による和解協議を命じていた。裁判には、被告側補助参加人としてバイエル・クロップサイエンスが加わっていた。
・Center for Food Safety, 2019-5-21 ・Center for Food Safety, 2017-5-9 ・Center for Food Safety, 2013-3-21【関連記事】