欧州議会は4月17日、農薬などのリスク評価の透明性を高める新たな法律改正案を賛成603、反対17、棄権27という圧倒的多数で可決した。通過した改正案は閣僚理事会の承認を待って発効する。この改正案は、140万人が署名した2017年のグリホサート禁止も求める法的拘束力のあるEU市民発議のを受けたもので、グリホサートの禁止はならなかったものの、欧州委員会はリスク評価の改善を約束していた。
食品の安全性リスク評価の信頼性と透明性を確保を目的とした今回の改正案では、企業の不都合な研究が隠されるのを防ぐためにEU共通のデータベースで研究を管理し、欧州食品安全機関(EFSA)はこの申請データを公開するというもの。
ピラール・アユソ議員は「これにより、科学的根拠に基づいた意思決定プロセスが可能になり、ヨーロッパにおける安全性と公衆衛生の高水準を保証しながら、より透明性のあるものにすることで国民の信頼と意思決定プロセスへの信頼を高めることができる」と述べているという。
・European Parliament, 2019-4-17Health and Environment Allianceは可決直後、ツイッターで「EU議会は、私たちの食品の安全性を決定するために使用されるすべての企業による研究から、より多くの透明性を必要とする法律にゴーサインを出した。私たちの健康のためのとても大きな勝利!」とツイートした。
Corporate Europe Observatory(CEO:欧州企業監視所)も可決直後「ストップ!グリホサート」の運動の成果であり勝利だとする声明を発表している。欧州企業監視所はまた、この改正案によればEFSAはデータを「検索、コピー、印刷」できる形式でデータを提供することを企業に要求することが可能になるはずであると指摘している。これまでに部分的に開示されたグリホサート関連のデータが電子的な処理の出来ないコピー画像であったことを考えると大きな進歩といえる。
・Corporate Europe Observatory, 209-4-17EUの透明性を高める今回の改正は、日本の農薬行政も避けて通れない。
【関連記事】- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増