食品安全委員会は8月6日、米国のシンプロット社の疫病耐病性・アクリルアミド生成量低減遺伝子組み換えジャガイモ(SPS-000Y9-7)について「ヒトの健康を損なうおそれはない」とする遺伝子組換え食品等専門調査会の健康影響評価を了承し意見公募を始めた。締切りは9月5日。
・食品安全委員会, 2019-8-7この遺伝子組換えジャガイモは、従来の栽培ジャガイモにない3つの特性を付加しているという。野生のジャガイモ由来の疫病抵抗性遺伝子を導入して疫病耐病性を付加している。また、遺伝子サイレイシングにより高温加熱加工時におけるアクリルアミド生成量を低減するとともに打撲による黒斑形成が低減するようになっているとしている。導入遺伝子の組み込みにはアグロバクテリウムを使用したという。米国の食品安全センター(Center for Food Safty)などは、遺伝子サイレイシングは、その影響がはっきりと分かっているわけではなく問題だと指摘している。
日本では2017年7月、今回申請の遺伝子組み換えジャガイモの第一世代となるシンプロットのアクリルアミド低減・打撲黒斑低減遺伝子組み換えジャガイモを承認されている。このGMジャガイモは、すでに米国内で流通しているという。今回、食品安全委員会が健康影響評価を取りまとめた遺伝子組み換えジャガイモ(SPS-000Y9-7)は、新たに疫病耐病性を付加したもの。海外ではこれまでに米国(2017年2月)、カナダ(2017年7月)、オーストラリア(2017年12月)で承認されているとしている。
・食品安全委員会, 2019-8GMジャガイモ 外食産業は軒並み使用せず
米国では、シンプロットのこのRNA干渉技術による遺伝子サイレイシングを使った遺伝子組み換えジャガイモについて、マクドナルドを初めとして多くの外食企業がその使用を拒否している。
日本の大手外食産業の多くも使用予定はないとしているという。遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは2017年9月、すかいらーくなど国内の外食関連8社に公開質問状を送り、シンプロットの遺伝子組み換えジャガイモを使用するか質問したところ、日本マクドナルドなど6社は使用予定はないとし、ココスジャパンは検討していないと回答したという。ロッテリアは「回答しない」と回答自体を拒否したという。
同キャンペーンは今年3月、日本マクドナルドに対して再度、使用しないことを確認する質問書を送った。同社は、「現在、シンプロット社のRNA干渉ジャガイモは使用しておりません。また、遺伝子組み換えジャガイモも使用しておりません」と回答しているという。
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンはまた、国内のポテトチップスメーカー6社にもシンプロットの遺伝子組み換えジャガイモ使用について質問し(2017年)、全社が使用の予定はないと回答している。6社の回答によれば、湖池屋など3社が国内産のみを使用と回答。カルビー、山崎、ハウスの3社が輸入ジャガイモを使用してるとしている。
既に承認されているシンプロット社の遺伝子組み換えジャガイモとともに、今回承認されようとしている遺伝子組み換えジャガイモは、どこで使われようとしているのだろうか。日米FTAに絡んで、米国から強引な輸入要求が出てくるのか。これからも注視していく必要がある。日本の表示制度では、この遺伝子組み換えジャガイモを外食産業がを使ったとしても、表示義務はなく客には全く分からない。「使わないと明言した企業しか利用ない」と声をあげていくことが重要だ。
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