最終更新日:2019年9月8日
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2019.09.08 No.1004
■ゲノム編集の牛に組み込まれた抗生物質耐性遺伝子
genemw-edited-polled-calf.jpg / Flickr
ゲノム編集で誕生した角のない乳牛 / USDA / Flickr

 米国食品医薬品局(FDA)の研究グループは7月28日、2016年に作出が発表された、米国・リコンバインテックス社のタレン(TALEN)技術を使ったゲノム編集による角のない乳牛(除角牛)に、ゲノム編集に使ったプラスミド由来の遺伝子の組み込みを見つけた、と専門誌に発表した。細菌由来のさまざまな遺伝子配列ととも、2つの抗生物質耐性遺伝子が見つかったという。この除角牛の作出の発表(2016年)では、オフターゲットはなかったとされていたという。

 ・bioRxiv, 2019-7-28  ・Nature Biotechnology, 2016-5-6 (※タイトルのみ)  ・Independent Science News, 2019-8-12

 見つかった抗生物質耐性遺伝子は、カナマイシン耐性遺伝子とアンピシリン耐性遺伝子だったという。このような外来遺伝子が組み込まれた除角牛について、リコンバインテックス社は2016年、米国食品医薬品局に「一般に安全と認められる食品(GRAS)」としての承認を求めたが、FDAは拒絶したという。

 リコンバインテックス社は、昨年からブラジルの国家バイオ安全技術委員会(CTNBio)とともに、この除角乳牛についてのプロジェクトを進めていた。Wiredによれば、3月にこのオフターゲットを知ったリコンバイネティクスの関連会社アセリジェンは、ブラジルの国家バイオ安全技術委員会(CTNBio)に連絡を取り、除角乳牛のプロジェクトを終了したという。一方、同じようなゲノム編集による肉牛のプロジェクトは進められているという。

 ・Wired, 2019-8-26

 今回のオフターゲットの発覚について、アセリジェン社のCEOであるソンテスガード氏は、「それは予想されたものではなく、私たちはそれを探しませんでした。(より完全なチェックは)行われるべきでした」と語り、チェックが不十分だったことを認めているという。MIT Technology Reviewは、ゲノム編集は、その推進派が言うほど予測可能でも信頼できるものではなく、誰も気付かずに重大な予期しない変更を導入する可能性があるとして、「場当たりエンジニアリング」と酷評している。

 ソンテスガード氏は、根拠は示されていないが、このゲノム編集除角牛の肉を食べても問題はないという。一方、除角牛の子孫のうち5頭を飼育していたカリフォルニア州立大学は、既に3頭を焼却処分したという。

 TestBiotechによれば、このゲノム編集除角牛に追加された遺伝子が生物学的に活性であるかどうかに関する研究は行われていないという。

 ・MIT Technology Review, 2019-8-29  ・TestBiotech, 2019-8-6

 今回のゲノム編集除角牛の問題は、「場当たりエンジニアリング」(MIT Technology Review)によるオフターゲットを含むゲノム編集動物が市場に出る寸前で発覚したということだ。日本でも進むゲノム編集作物の商業化について農水省など規制当局は、外来遺伝子を持ち込まない(ノックアウト)のであれば、義務のない届出で許可しようとしている。今回の一番の原因は、杜撰なリコンバインテックス社のチェックにあることは間違いない。オフターゲットの確認と判断が開発企業に任されるような制度は「ザル」といわざるを得ない。安心して食べるものを選ぶことができなくなる。


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