ドイツ連邦政府は9月4日、2023年末までにグリホサートを全面禁止にする方針を決定という。この方針は、4日に決定された「昆虫保護行動プログラム」の一部であり、農業用の使用を段階的に削減し、2023年末をもって使用禁止にするというもの。その一部「体系的削減戦略」では、そのプログラムの初期に、家庭菜園や農地境界でのグリホサートの使用が禁止されるという。
この決定に対して、連邦議会内会派の緑グループのホフライターは、不十分だと指摘しているという。一方、モンサントを買収しバイエルは、ラウンドアップに使用されている物質は安全に使用できるとして、政府の決定を批判しているという。
ドイツではこれまでに、保護地域、収穫開始前、公共エリアなどではグリホサートの使用は制限されていて、この決定により使用禁止がよりはっきりしたことになる。
・Deutsche Welle, 2019-9-4 ・Euractiv, 2019-9-5今年2月、ドイツ連邦政府のシュルツェ環境相は、昆虫を保護するため、殺虫剤の大幅削減や巨額の研究費拠出を盛り込んだ法律を制定する方針を明らかにしていた。このプログラムでは、グリホサートの2023年までの禁止を盛り込み、昆虫保護のために年間1億ユーロ(約125億円)を拠出し、うち2500万ユーロ(約31億円)を研究に割り当てる計画としている。
・AFP, 2019-2-18EUでは2017年11月、2022年12月までの5年間の登録延長を決めている。ドイツ連邦政府のメルケル首相は6月、「最終的にグリホサートがこれ以上使用されなくなるところまで来ています」として、時期は明確にはしていないものの、グリホサートの使用はいずれなくなるとの見解を明らかにした。連邦政府のクレックナー食料・農業大臣も7月、新聞のインタビューに答えて、EUにおけるグリホサートの登録は22年まで続き、禁止を決めたオーストリアに続くべきではないと語ったと報じられていた。
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