

農水省は9月9日、21年度から始める農薬再評価に関し最初の14種類を官報に告示した。ネオニコチノイド系が5種類、グリホサート系が4種類、その他が5種類。これまでは3年ごとの登録再延長に際して再評価は行われてこなかったが、昨年12月施行の改正農薬取締法で新たに登録する農薬はおおむね15年ごとに再評価する制度を導入した。既に登録されている農薬については、21年度より優先度の高いものから再評価を実施するとしていた。しかし、農薬再評価により使用禁止を含む規制強化が行われるかは不透明だ。
農薬の再評価制度導入により、農薬取締法施行規則に提出すべきデータとして「生活環境動植物及び家畜に対する影響に関する試験成績」が追加された。
農水省は昨年12月、優先度の基準とともに、580種類の農薬についてAからDまで5段階の優先度を公表していた。優先度の高いAランクは、殺虫剤は生産量が年あたり20〜30トン以上のもの、除草剤と殺菌剤は生産量が年50トン以上としていた。この優先度基準によるものか、ネオニコチノイド系であっても出荷量が10トン前後のチアクロプリドとニテンピラムは今回の再評価対象からは漏れた。
-
ネオニコチノイド系
アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニンン、ジノテフラン、チアメトキサム -
グリホサート系
グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートカリウム塩、グリホサートナトリウム塩 -
その他
イソチアニル、D-D、ペンチオカープ、チフルザミド、プタクロール
・官報, 2019-9-9 ・農水省, 2018-12-1
昨年6月7日の参院農水委員会の農薬取締法改正案の質疑において、紙智子議員(共産)は、ネオニコチノイド系などの再評価を最優先すべきだと質問した。これに対して齋藤農相は次のように答弁している。
齋藤農相はまた、昨年7月6日の記者会見で、EUが屋外使用禁止を決めた3種類のネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の再評価を優先的に行うことにしていると述べていたが、ジノテフランについては明らかにしなかった。その後政府は、ジノテフランの優先再評価に関する川田龍平議員(立憲)の質問主意書(「改正農薬取締法の運用に関する質問主意書」)への回答において、国内使用量の最も多いジノテフランも優先して再評価すると回答していた。
【関連記事】- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- イタリアのパスタメーカー グリホサート懸念からカナダ産小麦の輸入を削減
- 欧州市民団体 EU禁止農薬の輸出禁止と使用した食品の輸入禁止を求める
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- グリホサート系国内出荷量 2019年度は前年比5%減
- 厚労省 GM添加物2品目を承認 18品目が手続き中
- 富山県産大豆から残留グリホサート 日消連などは散布中止要請の公開質問状
- 欧州委員会 2030年までの生物多様性・農業戦略を策定 有機農業を25%に
- ラウンドアップ損賠訴訟 原告は4万3千人に急増
- 「安全」とされるフルピラジフロンもミツバチに有害