南アフリカ政府農林水産省は10月3日、モンサントが開発した干ばつ耐性・除草剤耐性・害虫抵抗性遺伝子組み換えトウモロコシ(MON87460 x MON89034 x NK603)が、モンサントのいうような収量がないとして承認しないとする最終決定を発表した。水が限られた条件下では収量が一定せず、従来品種より少ない場合があったという。
このスタック品種は、モンサントの謳い文句とは異なり収量の安定性がなく、害虫抵抗性についてもデータが不十分だったという。
アフリカ生物多様性センター(ACB)は10月4日、画期的な決定であり、この「インチキ」GM品種の導入に反対し、抵抗してきた南アやケニアなどのアフリカの市民組織にとって勝利だとする声明を発表した。
アフリカ生物多様性センターのディレクターであるマリアム・マエットさんは、「データは、気候変動や貧困などの複雑な環境的、政治的、社会経済的課題に効果がなく、遺伝子組み換え製品の販売促進に、モンサントが科学をねじ曲げて操作していることを明らかにしている」と指摘している。マエットさんはまた、「アフリカ生物多様性センターは2008年以来、干ばつ耐性の証拠がないことを明らかにしており、モンサントに証明するよう求めてが、政府機関が確認したように、モンサントは主張を裏付ける科学的データをまったく提供しなかった」と説明している。
・African Centre for Biodiversity, 2019-10-4親品種の一つである干ばつ耐性のMON87460は、東アフリカ沿岸5か国(ケニア、ウガンダ、タンザニア、モザンビーク、南アフリカ1)とアフリカ農業技術財団(ケニア)、国際小麦・トウモロコシ改良センター(CIMMYT)、モンサントで構成される水有効利用トウモロコシプロジェクト(WEMA:Water Efficient Maize for Africa)で導入が計画されていた。しかし、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のデータベースによれば、アフリカ諸国での栽培はまだ承認されていない。モンサントが日本での承認に際して提出した申請書によれば8〜10%の増収を見込んでいるとしていた。
・ISAAA南部アフリカへの干ばつ耐性遺伝子組み換えトウモロコシの導入を目財していた水有効利用トウモロコシプロジェクト(WEMA)は、2017年のモザンビークでの試験栽培が最新であり、サイトもエラーとなる状態でプロジェクト自体が停滞ないしは格下げされているようにも見える。
日本では、このモンサントのこのスタック(掛け合わせ)品種は、2012年9月に、干ばつ耐性品種のMON87460とともに第一種使用規定の承認を受けている。この承認では栽培も可能であるが、国内での栽培はない。また、食用や飼料用としても2011年に承認されている。
・農水省, 2019-5-20 ・厚労省, 2019-8-16【関連記事】
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