食品安全委員会は10月29日、ブラジルのカナビアリス研究所(CTC)が開発した害虫抵抗性遺伝子組み換えサトウキビ(CTC175−A)について遺伝子組換え食品等専門調査会での審議を決めた。
・食品安全委員会, 2019-10-29 ・厚労省, 2019-10-23この遺伝子組み換えサトウキビは、ブラジルのCTC社が開発し、2017年にブラジルで承認され、翌年から商業栽培が始まっている。2018年に米国とカナダで食品として承認されている。2018年に商業栽培が始まった時には、中国やインド、日本、ロシア、韓国、インドネシアに承認を求めるだろうと報じられていた。ブラジルからの砂糖の輸入は1千トン足らずと少ないが、承認されれば輸入される可能性が出てくる。砂糖それ自体や、加工食品に使用された場合であっても表示は不要となり、消費者には全く分からなくなる。
遺伝子組み換え原料を使った砂糖は、すでに米国で流通している。米国では除草剤グリホサート耐性遺伝子組み換えてん菜の商業栽培が2007年に始まっている。現在では、米国のてん菜糖の90%以上がGM品種となっているという。日本でも2001年と2003年にバイエルとモンサントの除草剤遺伝子組み換えてん菜が食品として承認されている。
2007年には、モンサントの開発した除草剤グリホサート耐性遺伝子組み換えてん菜の栽培が承認されているが、2015年、遺伝子組み換え栽培規制条例が制定され、商業栽培が実質的に規制されている北海道で、GM作物栽培推進の農家などがGM作物の試験栽培実施を求める要請書を北海道立総合研究機構の提出している。2017年には日本農学アカデミーが、遺伝子組み換えテンサイを北海道で試験栽培できる環境つくりに国と道が取り組むことを提言している。同年5月、日経新聞は北海道北見市の農家の小野寺氏がGMてん菜の栽培許可を求めて北海道庁に働きかけたという記事を掲載している。このGMてん菜の商業栽培への動きは、2018年以降は目立った動きはない。
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