

農水省は11月8日、有機JASにおいてゲノム編集由来のものを使用できないよう明確する改正を行うとして、意見公募を始めた。締切りは12月7日。これまでの遺伝子組み換え技術の禁止に加え、ゲノム編集禁止は当然のことであり、有機認証にもゲノム編集を容認するという最悪の状況は避けられる可能性が出てきた。多くの人の意見が必要だ。
・農林水産省, 2019-11-8しかしながら農水省は、ゲノム編集については数塩基程度の変異を誘発させる(SDN−2)までを、遺伝子組み換えではないとして無規制としている。また、遺伝子組み換えでないとする範囲のゲノム編集技術による動植物は、罰則のない届出とした。専門家の確認を経て届出を受理した場合に限り、農水省のHPに掲載するとしている。
農水省は今回、「ゲノム編集技術を用いて生産されたものについても、原材料等において使用できないことを明確にする」とは述べているが、どこまで本気なのか。文書改ざんや隠蔽を平気で行う今の行政府の状況からは、最終的な決着まで気を抜くのはよくないだろう。
10月からスタートしたゲノム編集作物規制では、ゲノム編集を使い、遺伝子を人為的に切断したのち自然修復での変異を期待するSDN−1や、数塩基程度の変異を誘発させるSDN−2は、「従来育種と同じ」だと強弁し、栽培規制は盛り込まれていない。全くのザルである。農家が知らずしてゲノム編集された品種を栽培する可能性は愛とはいえない。有機認証農産物にゲノム編集農産物が混入しない枠組みが不可欠であるが、現行の制度で果たして十分なのか。結局、ゲノム編集品種が知らずして「混入」した場合、農家が責任を取らされることになるのではないか。
EUは欧州司法裁判所の決定により、全てのゲノム編集は遺伝子組み換えとして扱うことになっている。SDN−2の解釈によっては、日本の有機認証製品はEUから拒否される可能性は拭えない。
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