最終更新日:2019年12月3日
2019年12月

2019.12.03 No.1025
■アフリカの科学者ネットワーク ネオニコ系農薬の緊急規制を勧告
agriculture_Benin.jpg / Wikimedia
アフリカ・ベニンの農村 / Africa Rice Center / Wikimedia

 アフリカの科学者ネットワークは11月11日、アフリカにおけるネオニコチノイド系農薬の使用について、アフリカの持続可能な農業を脅かし食料安全保障にとって問題があるとして、アフリカ全体で緊急の予防的アプローチを求める報告書を発表した。報告書は、アフリカ科学アカデミーネットワーク(NASAC:Network of African Science Academies)と南アフリカ科学アカデミー(ASSAf:Academy of Science of South Africa)が共同して取りまとめた。ネオニコチノイド系農薬に関する報告書としては、アフリカで初めてだという。

 報告書は、ネオニコチノイド系農薬による生態系への脅威が、アフリカの食料安全保障にとって重要な持続可能な農業の脅かしているという。そして、アフリカの農業の持続可能性の更なる悪化を防ぐために、個別の国レベルではなく、アフリカ連合と地域経済共同体の枠組みによるアフリカ全体での緊急の規制を求めている。今、行動することが緊急であると断じている。その上で、有害病害虫の防除には農薬などの化学物質を使わない方法を最大限に活用し、全ての農薬使用を最小限にすべきとしている。このためには、農薬メーカーや供給業者らの農薬業界から独立した専門家の助言を受けるべきだと指摘している。

 報告書はまた、新たなネオニコチノイド系農薬のスルホキサフロルやフルピリジフロンについても、EUが規制を強化したイミダクロプリドなどと同様に精査が必要だとも指摘している。

 アフリカでもネオニコチノイド系農薬の使用による汚染が確認されているという。報告書はアフリカ各地の汚染を報告している。例えばケニアのナイロビ周辺で採取された蜂蜜と花粉から検出される残留農薬の14.4%がネオニコチノイド系であり、蜂蜜からはアセタミプリド、チアメトキサムとイミダクロプリドが検出されたという。

 ・Network of African Science Academies, 2019-11-11  ・Network of African Science Academies, 2019-11-13  ・Network of African Science Academies, 2019-11-18  ・SciDev, 2019-11-20

 ネオニコチノイド系農薬は生態系へのリスク懸念から、世界的な規制強化に動いている。昆虫や動物だけでなくヒトへの影響も明らかになりつつある。欧米での規制強化は、アジアやアフリカなどの規制の緩い地域へネオニコチノイド系農薬を押し込み、「草刈場」となることへの懸念がある。そのような状況でアフリカの科学者が、アフリカ全体で緊急の規制を求めていることの意味は大きい。

(参考)
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